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POSTED BY ライター/翻訳者 ベロワ ニーナ 掲載日: APR 29TH, 2020.

密室のプロ11人の声。「おこもり期間を元気に過ごすコツ」

外出自粛で自宅で過ごす時間が増える中「狭いスペースにこもってばかりで気が狂いそう!」と感じている人も多いのではないでしょうか。そんなあなたに、密室で過ごすことを専門にした11人のコツを伝授。宇宙飛行士から潜水艦乗り、さらには独房で2年余りを過ごした元マフィアまで、「密室のプロ」ともいえる人々の声をまとめました。

1カ月以上も家を出てはいけないと言われたら、みなさんはどのように反応するでしょうか。「そんなの無理に決まってる!」「頭がおかしくなっちゃう!」と思うのが普通ですよね。

でも実は、世界にはもっと長い期間狭いスペースで過ごす人がいます。例えば潜水艦の乗組員。なんと1年近くも空を見ることなく「おこもり」することもあるそう。他にも宇宙ステーションで生活する宇宙飛行士や、灯台主、隠遁生活を送る修道士、さらには独房で過ごした経験のある元マフィアなど、普通の人には考えられないような環境で生きる人はたくさんいます。

コロナウイルスの蔓延により世界中が外出自粛やロックダウン(都市封鎖)に踏み切る中で、このような密室・孤独のプロたちは、続々と元気に過ごすためのコツを公開しています。

ルーティンを定めよう

最も多かった意見、それは「毎日のルーティンを定める」です。

毎日のルーティンを定めて、それに従って生活すれば、日が週になりさらに月になり・・・という風に時間が過ぎていきます。(自宅生活が)どれだけ続くのかわからないときでも、ルーティンがあれば体が慣れるのです。
―ライアン・ラムゼイ(潜水艦乗員)[出典]

朝起きて「今日は何をしよう」と考え出すと、かえって何もできないことがあります。でも、毎日決まったリズムがあれば、意外と頑張れるし、次第に楽しくもなってくるのです。さらに、ルーティンがあれば退屈することもありません。修道院では常に鐘を鳴らして「次はこれをする時間」と区別しているので、退屈する時間がないのです。
―クリストファー・ジェイミソン(修道士)[出典]

自宅待機が長引くと困るのが「時間がありすぎること」ではないでしょうか。そのため、何もすることがなくて暇で辛い・・・ということになりかねません。

仕事や学校がある日が退屈でないのは、毎日決まった時間にこれをする、というルーティンがあるから。通常の日々と同じように、スケジュールを作ってあげるのが重要なのです。起きる時間を定め、仕事や食事の時間も一定にしましょう。すると生産性も上がり、また退屈だなと思うことも減るはずです。

忙しくすることが大事! だらだらしないこと。朝起きて、服を着て、計画を立てる。時間を無駄にしてしまうのは簡単なことだけど、そうすると精神が崩壊してしまいます。
―クリスタ・バーン(人口135人の離島在住)[出典]

自由時間もルーティンに組み込む―おすすめは夕方!

もちろん、ルーティンを定める=自由な時間がない、ということではありません。例えば、宇宙ステーションでは「夕食後から消灯までは自由時間」という風に定められています。この間は、毎日違うことをしてもOK。大切なのは自由時間をも時間割に組み込んでしまうことなのです。

自由時間は、宇宙ステーションのように夕方に設定するのがおすすめ。そうすれば、普段の生活とあまり変わらない日々を送ることができますね。

ルーティンを決めて毎日それに従っているよ。最も重要なのは、1日の最後に「ご褒美」の時間を設けること。映画を見たり、編み物をしたり、スポーツ観戦をしたりするのが楽しみなんだ。
―ビリー・バー(コロラド州ゴシックの唯一の在住者)[出典]

ご褒美の時間があれば、それを楽しみに1日頑張れますね。

掃除をして環境を整える

次によく聞かれたのが、「掃除を徹底するという」もの。長い時間を過ごすスペースだからこそ、心地のよいように整えるのが重要なのです。

周りの環境は精神状態に大きな影響を及ぼします。だから私は、できるだけ自分のいる環境をコントロールするように努めています。例えば、基地の研究室を念入りに掃除したり、そして今は自宅のアパートでも同じことをしています。
―マリオン・ディエリクス(南極研究者)[出典]

掃除は、家をきれいに保つだけでなく、心を健康に保つ効果もあるんですね。この機会に、普段は手の届かないような箇所まで大掃除をしてみるのもよいでしょう。

気分転換を忘れずに!

どれだけ努力をしても、慣れた日常とは違う生活が続くと疲れてしまうのは当然のこと。これは、厳しい訓練を積んだ密室のプロでも同じです。

閉鎖空間にいるからこそ、潜水艦内のことではない全く別のことに意識を向けさせる。緊張状態が長く続くと、自律神経にも悪影響を及ぼします。半ば強制的に「いま船のなかにいる」ということから頭を切り替える必要があるのです。
―伊藤俊幸(潜水艦「はやしお」元艦長)[出典]

そこで重要になってくるのが気分転換(現実逃避)です。不安な毎日が続き、ニュースを読むだけで気分が落ち込んでしまう人も多いでしょう。毎日少しの時間でもよいので、今こことは違う世界に意識を向けてみましょう。すると、また次の日を生きる元気がもらえるはず!

音楽

密室のプロがおすすめする気分転換方法その1は、音楽を聴くことです。宇宙飛行士のスコット・ケリーの楽しみは、週末の夕食時にクルー全員で集まって音楽を聴くことだったそう。

さらに、独房で2年余りを過ごした元マフィアのボスも、辛いときは音楽が一番の支えだったと語ります。

音楽には気分を高揚させる効果がある。ソニーのウォークマンとイヤホンは、何よりも独房の外に連れ出してくれた。クリスマス・イヴで落ち込んでいたときも、音楽を聞いたらポジティブな方向に気分を向けることができた。子どもがいたりして忙しい人が多いのもわかるけど、少し自分だけの時間を確保して、元気の出る音楽を聞くことをおすすめするよ。
―マイケル・フランチェーゼ(独房生活経験者)[出典]

映画

その2は映画を見ること。映画鑑賞はおそらく、最も簡単に現実逃避できる方法ではないでしょうか。映画の世界に没頭することで、気分をコントロールすることもできます。

ストレスが溜まっているときは、アニメーションなど、可愛らしくて笑えるものを見るのが好き。そうすればストレスを忘れられる。落ち込んでいるときでも、気分を変えることができるんだ。
―ビリー・バー(コロラド州ゴシックの唯一の在住者)[出典]

ですが、スクリーンタイムを制限することも重要。映画やテレビばかり見て1日を過ごすのではなく、あくまで「ご褒美」として捉えるのがよいですよ。

読書

そして最後は読書です。おこもり時間が増える今は「積ん読」解消にも最適!読書は気分転換によいだけでなく、脳の活性化にもなるので「時間を無駄にしている」感覚がありません。最近は電子書籍なども一般的になっているので、家を出なくても好きな本を手に入れることができます。

さらに読書は孤独の解消にも効果があります。灯台主の娘として育ったジャスティーン・エッツコーンは、本の登場人物と深いつながりを築いてきたと言います。自身も灯台主となった彼女は、今でもたくさんの本を読むそうです。

コミュニケーションの重要性

休校やリモートワークなどで、同居家族と過ごす時間が増えた人も多いでしょう。実はこれが意外なストレスになりがち。どんなに好きな相手でも、毎日ずっと一緒に過ごすのはなかなか大変なことです。同居する相手とどれだけ上手く関係を結べるか―これは、自宅時間を乗り切るためのカギになります。

宇宙飛行士の仕事は技術的なものばかりではありません。クルーメンバーといかに仲よく生活することができるか、ということも、宇宙ミッションの成功に大きく影響します。
―アン・マクレーン(宇宙飛行士)[出典]

NASAでは心理学者と宇宙飛行士が協力して、人間が小グループで健全に生活するための方法を長年にわたって調査してきました。その結果、5つの基本的なスキルが重要であることがわかったそうです。

  • コミュニケーション:自分の意見をはっきりと相手に伝え、相手の意見にしっかりと耳を貸す
  • リーダーシップとフォロワーシップ:信頼関係を築き、役割を分担する
  • セルフケア:自分の心と体の健康をモニタリングし、気分を安定させる
  • チームケア:相手に対する尊敬と忍耐の心を忘れずに
  • グループリビング:競争ではなく協力を意識し、自分がグループの一員であることを忘れない

NASAの教えは、コロナ禍の家族生活にも応用できますね。特に重要なのは、問題が発生したら無視せずにできるだけ速く解決すること。今の状態はいつまで続くかわかりません。靴の中に入った小石のように、少しの間は我慢できるものでも長く続くと大問題になりかねません。

本当につらいときは無理せずSOSを

もちろん、どれだけ努力をしても辛くなってしまうことはあります。潜水艦「はやしお」艦長などを務めた元海将、伊藤俊幸氏は、初めて潜水艦に乗った若い乗員が不安に耐え切れずに相談を求めに来たエピソードを紹介しています。

この乗員は真っ青な顔をしていたそうです。危険信号を感知した伊藤氏は即座に外部に連絡し、潜水艦を浮上させて彼を下船させました。

これを大げさな対応だと感じる人もいるかもしれませんが、任務を安全に執り行うためには、乗員の健康が第一。パニックを起こしてしまったら、取り返しのつかない事態になってしまうことも考えられます。

健康第一はコロナで自宅待機をする私たちも同じ。不安や孤独で体調を崩してしまったら本末転倒です。「どうしよう、もう耐えられないかも・・・」と思ったら、我慢せずに助けを求めましょう。

相談窓口

新型コロナウイルス感染症関連SNS心の相談(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症の影響による心の悩みについて、チャット形式で相談できます。
【受付時間】平日(18時00分~21時30分)土日祝日(14時00分~21時30分)

新型コロナこころの健康相談電話(日本臨床心理士会・日本公認心理師協会)
新型コロナウイルスによる不安な気持ちの対処法など、日常を落ち着いて過ごすための方法について、電話で相談できます。
【期間】2020年4月20日から5月6日まで(緊急事態宣言の状況によっては延長の可能性あり)
【受付時間】平日(10時00分~12時00分および19時00分~21時00分)※連休中5月4日~6日も実施

【参考記事一覧】
「コロナ鬱」にならないための“究極のストレス・コントロール術” 潜水艦元艦長が指南 [文春オンラインで読む] (日本語)
An Astronaut’s Tips For Living in Space – Or Anywhere [NASA.govで読む] (英語)
Isolation tips from a nuclear submarine captain [BBC.comで読む] (英語)
Start a daily routine – and make the weekends different’: the isolation experts’ guide to lockdown living [TheGuardian.comで読む] (英語)
How An Ex-Mob Boss Survived Isolation [Youtube.comで見る] (英語)
Tips From Someone With Nearly 50 Years Of Social Distancing Experience [npr.orgで読む] (英語)
Jack Knox: Isolation’s not all bad, says the lighthouse keeper [TimesColonist.comで読む] (英語)
Confined in a small space due to COVID-19? Here’s some tips from an astronaut [abcnews.go.comで読む] (英語)
Even astronauts get ornery: Coronavirus advice from those who have endured social distancing in the extreme [TheWashingtonPost.comで読む] (英語)

[All photos by Shutterstock.com]

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ベロワ ニーナ

Nina Belova/ライター/翻訳者

北海道生まれ、福井県育ちのロシア人。東京大学地域文化研究北アメリカコースを卒業後、アメリカに移住。現在はフリーランスのライター・翻訳者として活動し、執筆分野は金融・技術・旅行・歴史など多岐にわたる。アメリカの田舎で夫・猫とともに自由なヒッピー生活を満喫中。

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