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POSTED BY ライター/タイニーハウス・ウォッチャー 倉田直子 掲載日: NOV 24TH, 2019.

小さな家の豊かな暮らし【9】サイコロみたいな「キューブハウス」

「タイニーハウス」をご存知ですか? 様々なとらえかたがある言葉ですが、だいたい20平方メートル程度の小さな家を意味します。さらに、車でけん引できるモバイルハウスであることも。いま世界中でこのタイニーハウスの愛好者や、タイニーハウス生活を夢見る人々が増えていて、「タイニーハウス・ムーブメント」を巻き起こしています。このシリーズでは、オランダでタイニーハウス生活を営む人々や、素敵なタイニーハウスをご紹介します。

「タイニーハウス・ムーブメント」とは?

サイコロのような「キューブハウス」
サイコロのような「キューブハウス」

タイニーハウス・ムーブメントのきっかけは、2008年に発生した世界規模の金融危機「リーマン・ショック」だと言われています。この経済危機をきっかけに、「豊かさってなんだろう」「家ってなんだろう」「本当に必要なモノは何?」と多くの人が考えるようになったのです。そこからタイニーハウス生活が注目を浴びるようになりました。必要最低限のものだけを所有し、ローンのいらない小さな家に住む。そんな「小さくても豊かな暮らし」は、欧州オランダにも伝わりました。
今回は、一風変わったデザインの家の紹介です。実はここ、世界中のデザイン住宅愛好家が憧れる物件でもあるんですよ。

 

ロッテルダム建築の象徴「キューブハウス」

 

斬新な建物が林立するロッテルダム
斬新な建物が林立するロッテルダム

オランダの西南部に、ロッテルダムという街があります。首都アムステルダムが中世の街並みを残しているのに対し、第二次世界大戦で砲撃を受けたロッテルダムは、一度焼け野原のような状態になってしまいました。そのため、街の中心には歴史的な建物はほとんど残されていません。
その代わり、その戦争で荒廃した土地に、経済復興とともに「ダッチデザイン」と称される斬新なデザインの建築物がたてられたのです。

密接するキューブハウスたち
密接するキューブハウスたち

そのロッテルダムにおける「ダッチデザイン」の象徴ともいっても過言ではないのが、この「キューブハウス」(オランダ語ではKijk-Kubus)。1984年建築の、45度に傾いたサイコロ型の集合住宅です。タイニーハウス・ムーブメントが発生するより30年も前に、こんなにインパクトのある住居がデザインされていたんですね。

このうちの一軒がモデルハウス的に内部を公開してくれているので、観光客も内部を見学できるのです。早速見てみましょう。

キューブハウスの内部

キューブハウスのレセプションフロア
キューブハウスのレセプションフロア
キューブハウスのダイニング
キューブハウスのダイニング

地上から細いらせん階段を上って1階へ。このモデルハウス(博物館)ではレセプションフロアですが、もし普通に住んでいたらリビング・ダイニングのような空間です。

キューブハウスのキッチン
キューブハウスのキッチン

しっかりとしたキッチンもあります。ただ、やはり冷蔵庫は小型ですね。

2階の就寝スペース
2階の就寝スペース

2階に上がると、ベッドルームのプライベートコーナーが。頭上の壁の傾きさえ気にならなければ、寝心地はよさそうです。パーテーションで区切られた別の空間を、セカンドベッドルームにすることもできます。

最上階のサンルーム
最上階のサンルーム

そして最上階である3階は、ロフトのような空間。日当たりがよいので、いろいろな使い方ができそうです。サンルームやヨガルームなど、住人ごとに工夫して使えるのではないでしょうか。

キューブハウスの窓の外の風景
キューブハウスの窓の外の風景
キューブハウスの窓の外の風景
キューブハウスの窓の外の風景

ちなみに、キューブハウスの形状は特殊なので、窓のクリーニングサービスは受けられないそう。「雨を待つ」のが、唯一の対策なのだとか。

キューブハウスの間取り図
キューブハウスの間取り図

ここまで画像を見てきても、家の構造がわかりにくかったかもしれません。少し見えにくいですが、間取り図も公開されているのでご参照ください。外観はシンプルですが、中は入り組んでいるのがおわかりいただけると思います。けれどこの、他にはない複雑さが人々を引き付けるのでしょう。
そして、真四角なのかと思ったら少し縦に長いことがわかります。タイニーハウスと呼ぶには若干大きいですが、その複雑な構造ゆえにあまり収納力は高くなさそうです。ミニマリスト的な心構えがないと暮らせないという意味では共通点がありそうですね。

キューブハウスの隙間からのぞく青空
キューブハウスの隙間からのぞく青空

かわいいキューブハウスのご紹介、いかがでしたでしょうか。首都アムステルダムとは、全く異なる魅力の街ロッテルダム。このキューブハウス以外にも斬新なデザインの建物があります。オランダ旅行の際は、ぜひこちらのほうまで足を延ばし、建築物をめぐる散策などを楽しんでみてはいかがでしょうか。

[All photos by Naoko Kurata]
[Kijk Kubes]

>>>【連載】小さな家の豊かな暮らし〜オランダ発 タイニーハウス 〜はこちら

倉田直子

Naoko Kurata/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

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