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POSTED BY 編集/ライター はな 掲載日: MAR 3RD, 2024.

【ひな祭りって何するの?】ひな人形の飾り方や行事食は?

【2024年1月24日更新】3月3日は「ひな祭り」。別名「上巳(じょうし)の節句」「桃の節句」と呼ばれる女の子の節句で、ひな人形を飾って女の子の健やかな成長と幸せを願う行事です。起源は、厄を人形に移す習わしと、貴族の女児のおままごと遊びである「ひいな遊び」が結びついたという説が有力。ひな人形の飾り方や、ひな祭りの行事食も紹介します。

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3月3日は「ひな祭り」。ひな祭りの由来やひな人形の飾り方、行事食について、和文化研究家の三浦康子さんに教えてもらいました。

ひな祭りの由来は?

ひな祭りの起源は、古代中国の「上巳(じょうし)節」にあります。「上巳節」は、奈良〜平安時代の遣唐使によって日本に伝えられました。

上巳とは3月上旬の巳(み)の日のこと。この時期は季節の変わり目で、災いをもたらす邪気が入りやすいと考えられていたため、草やわらで作った人形(ひとがた)に厄を移して川に流すようになりました。これが貴族の女児の間で流行していた「ひいな遊び」というおままごとと結びつき、流しびなが誕生。人形(にんぎょう)が立派になると、ひな人形は流すものから飾るものへと変化していきました。

やがて江戸幕府が「五節句」を制定すると、5月5日の「端午の節句」が男の子の節句であるのに対し、3月3日の「上巳の節句」が女の子の節句になり、ひな人形を飾って祝う「ひな祭り」が広く親しまれるようになりました。

ちなみに「桃の節句」という別名は、桃の開花時期に重なるうえに、桃が「邪気を払う神聖な木」と考えられ、行事に用いられていたからです。

ひな人形の飾り方は?

ひな人形は、宮中の婚礼の様子を表現したもの。地方によって飾り方や道具に違いがあります。ひな壇飾りは吉数である奇数の段で飾ります。

●一番上…天皇と皇后をかたどった内裏びな(男びなと女びな)。

●上から二段目…内裏の世話をする三人官女。

●上から三段目…能の演奏をする五人囃子。太鼓(たいこ)、大鼓(おおつづみ)、小鼓(こつづみ)、笛(ふえ)、謡(うたい)を担当し、楽器を持つポーズや表情もさまざまです。

●上から四段目…警護に携わる随身。ひげをはやして弓矢を持つのが左大臣、若いほうが右大臣です。

●上から五段目…宮中の雑務に携わる仕丁で、怒り上戸、泣き上戸、笑い上戸の3人。この他に嫁入り道具などが飾られます。

内裏びなの飾り方は、関東では向かって左が男びな、右が女びな。京都や京文化の影響が強いところでは左右が逆になります。

古来、日本では、「左上位(左のほうが位が高い)」のルールにより帝は妃の左(向かって右)でしたが、明治時代の終わり頃から西洋の「右上位」のルールが取り入れられ、天皇は皇后の右(向かって左)に立たれるようになりました。つまり、関東では現代のルール、京都などでは古来のルールに則って飾っているのです。

また、「右大臣」と「左大臣」、木花の飾りである「右近の橘」と「左近の桜」の左右は、「内裏びなから見て」です。正面から見たときは左右が反対になるので気を付けましょう。

ひな人形は3月3日を過ぎたら早めに片付けます。「いつまでも飾っておくと嫁に行き遅れる」という言い伝えは、「厄を移した人形は早く遠ざけたほうがよい」という親心や、片付け上手になるよう躾けるため、「早く片付く=早く嫁に行く」といったことによるもの。遅くとも春分の日(3月20日頃)までに、湿気の少ない晴天の日を選び、ほこりを払ってから薄紙にそっと包んでしまいましょう。

ひな祭りの行事食は?

ひな祭りは、春を無事に迎えられたことを喜び、これからも家族が元気で過ごせるようにと願う日でもあります。ひな祭りの行事食といえば「ちらし寿司」や「はまぐりの潮汁(うしおじる)」、「菱餅(ひしもち)」や「ひなあられ」ですね。

ちらし寿司 

ちらし寿司にはおせちと同様、縁起のよい具材を使います。えびは「長生き」、れんこんは「見通しがきく」、豆は「健康でまめに働ける」など。緑のみつば、黄色の玉子、赤いにんじんなども飾ると、彩りが華やかになります。

はまぐりの潮汁 

二枚貝のはまぐりは、形や模様などが、対の貝殻しか合わないことから、仲のよい夫婦の象徴。相性のよい結婚相手と結ばれて仲むつまじく過ごせるように、との願いが込められています。

菱餅 

菱餅のルーツは、古代中国の上巳節で食べていた母子草のお餅。母と子が健やかであるようにという願いが込められています。3色の餅それぞれに意味があります。

●桃色(赤)…解毒作用がある赤いクチナシの実で着色。赤は魔よけの色。

●白…血圧を下げるひしの実が入り、子孫繁栄、長寿、純潔を願う。

●緑…強い香りで厄除け効果があるよもぎ餅。健やかな成長を願う。

また、3色を重ねる順番で、春の情景を表現。下から「緑・白・桃色」は「雪の下に新芽が芽吹き、桃の花が咲いている情景」、下から「白・緑・桃色」は、「雪の中から新芽が芽吹き、桃の花が咲いている情景」を表しています。さらに菜の花を表す黄色を加え、より華やかにする場合もあります。

ひなあられ

ひなあられの起源は、ひな人形を持って野山や海辺へ出かけて、ひな人形に春の景色を見せてあげた「ひなの国見せ」という昔の風習。春のごちそうと一緒に「あられ」を持って行ったのが始まりとされています。

ひなあられは、関東と関西で形も味も違うことをご存知ですか? 関東風は、駄菓子の「ポン菓子(米を爆ぜて作ったお菓子)」を砂糖で甘く味付けした米粒サイズのもの。関西風のひなあられは菱餅を砕いて炒り、しょうゆや塩で味付けした直径1cm大の「あられ」。どちらも菱餅と同じ3色または黄色を加えた4色で色付けされ、女の子の健やかな成長や幸せへの願いが込められています。

監修:三浦康子
和文化研究家。日本の文化を今に生かす方法をさまざまなメディアで提案。「行事育」提唱者。著書に『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)他多数。
http://wa-bunka.com/

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はな

hana/編集/ライター

コーヒーチェーン副店長から編集の道へ。現在は保育園児の母とフリーランス編集者の2足のわらじを履く、なんちゃってワーキングマザー。スポーツ観戦が生活の一部で、贔屓チームの勝敗が体調に影響を及ぼす厄介な体質。ワールドカップの日本開催を機にラグビーも勉強中。

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