「タイニーハウス」をご存知ですか?様々なとらえかたがある言葉ですが、だいたい20平方メートル程度の小さな家を意味します。さらに、車でけん引できるモバイルハウスであることも。いま世界中でこのタイニーハウスの愛好者や、タイニーハウス生活を夢見る人々が増えていて、「タイニーハウス・ムーブメント」を巻き起こしています。このシリーズでは、オランダでタイニーハウス生活を営む人々や、素敵なタイニーハウスをご紹介します。

「タイニーハウス・ムーブメント」とは?

タイニーハウス・ムーブメントのきっかけは、2008年に発生した世界規模の金融危機「リーマン・ショック」だと言われています。
この経済危機をきっかけに、「豊かさってなんだろう」「家ってなんだろう」「本当に必要なモノは何?」と多くの人が考えるようになったのです。
そこからタイニーハウス生活が注目を浴びるようになりました。必要最低限のものだけを所有し、ローンのいらない小さな家に住む。そんな「小さくても豊かな暮らし」は、欧州オランダにも伝わりました。
今回は、オランダのデンハーグという街にある、パーマカルチャーを目指すタイニーハウス集落のお話です。
大都会に生まれたタイニーハウス村

パーマカルチャーとは、永続性を表すパーマネント(permanent)と農業のアグルカルチャー(agriculture)、さらに文化のカルチャー(culture)を組み合わせ、「永続する農業/文化」という意味を持たせた造語です。パーマカルチャーは、自然環境を永久に保持し続けるために、自然に負荷をかけることなく暮らし、農業によりその恩恵を最大限に受けるということを目指しているといわれています。
不思議なことに、タイニーハウスに住みたいと考える人は、環境問題に関しても強い問題意識を持っていることが多いようです。そのため、オランダでタイニーハウスに住みはじめる人は、家庭菜園などもされていることがほとんど。そんなパーマカルチャーを目指すタイニーハウスの集落が、デンハーグという、オランダ第3の都市にあります。
タイニーハウス村の美しい農園

その集落の名前は、「Proeftuin Erasmusveld」。

敷地に入ってまず目につくのは、よく手入れされているのが分かる畑。

ハンモックや遊具のあるプレイエリアもありました。農作業の合間に、ハンモックでゆったり休憩なんて最高に贅沢ですね!

タイニーハウス村関係者が出品するガレージセールも、定期的に敷地内の倉庫で実施されています。
住人たちが「人々に自然の素晴らしさを感じて欲しい」「シンプルライフと持続可能性に基づく生活から刺激をうけて欲しい」という思いで、タイニーハウスを定期的に一般公開もしてくれているんです。今回は、そんな見学ツアーのレポートです。

では、見学ツアーに出発です!
個性的なタイニーハウスたち
猫と共に住む美しいタイニーハウス

この敷地内には5軒のタイニーハウスがありますが、この日に見学できたのは3軒。

まず1軒目は、このモバイル・ハウス。オランダ人カップルが、2匹の猫と暮らしています。余談ですが、「タイニーハウスの住人のアンケート」内でこのカップルは自分たちを「猫の召使」と書いていました。猫と召使の住むタイニーハウスって可愛らしいですね。


この2枚は、入口の左側。下にくつろぎのリビングスペースがあり、上にはロフトが。4.8mという家の高さを生かしたロフトは、生活スペースとしても十分に機能しそうです。


そして、家の右側にも同じくロフトが。
天井に半透明な素材が使われているので、中は非常に明るいです。冬が暗く長いオランダでは、太陽光は貴重な存在。日中は電灯の使用も不要になりますね。
友人や父親と作り上げるセルフビルド・タイニーハウス

2軒目は、「Soleros」と名付けられたタイニーハウス。家主のセルフビルドで、友人や父親の助けを借りながらコツコツと作り上げていったそう。

屋根のソーラーパネルからの送電や雨水のリサイクルなどを行う、環境にやさしい「オフグリッドハウス」でもあります。
家主のセンスが光る、青いタイニーハウス

3軒目は、この青いタイニーハウス。

反対側から見ると分かりませんが、微妙なせり出しが。室内のロフトスペースがより広く確保できる構造になっているのです。


23平方メートルの室内は、男性の一人暮らしには十分な広さ。
木の香りのする室内はセンスよくすっきりとまとめられていて、家主の「ガールフレンドが長居していく」というコメントも納得の心地よさでした。
環境に配慮された「Proeftuin Erasmusveld」

生活となると避けて通れないゴミ問題も、こんなに可愛らしく解決。住人のゴミはこのように分別されていました。これとは別に、個人でゴミを使ったコンポストを設置している方もいます。
この集落があるデンハーグは、とても賑やかな都会。それでも、これほど自然に恵まれたスペースを確保しているなんて驚きですね。畑での自給自足と、自分で建てたタイニーハウスに住める幸せを両立できる住人たちを羨ましく思います。
ただし、実はこの「Proeftuin Erasmusveld」の土地利用は自治体と2年の契約でなされていたので、2019年秋には別の場所に移動する予定なのだとか。跡地には、同じくパーマネント・カルチャーを目指すエコな集合住宅が竣工予定。
タイニーハウスの住人たちにはぜひ、新天地でも素敵なパーマカルチャー・コミュニティを築いていって欲しいです。
>>>【連載】小さな家の豊かな暮らし〜オランダ発 タイニーハウス 〜はこちら
[All Photos by Naoko Kurata]
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倉田直子
Naoko Kurata/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー
2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」
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