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中山秀明

POSTED BY ライター/編集/フードアナリスト 中山秀明 掲載日: AUG 14TH, 2020.

【食のプロが食べ比べ】柑橘の苦味?クラフトビール人気の火付け役・IPAを比較

すっかり市民権を得たクラフトビールですが、人気の火付け役は「IPA」というビアスタイルといっていいでしょう。これは「India Pale Ale」(インディア・ペール・エール)の略で、特徴は大量のホップによる濃厚な苦み、“柑橘”や“トロピカル”などと表現されるフルーティな爽快感などが挙げられます。
そこで今回は比較的有名な銘柄の「IPA」を5本ピックアップ。それぞれの特徴を浮き彫りにしたいと思います。

本稿ではIPAという名称の意味や特徴などをレポートします
本稿ではIPAという名称の意味や特徴などをルポします

 

 

飲みやすくて入門にぴったり。「グランドキリン IPA」

今回の5本の中で、最も入手しやすいのがグランドキリンでしょう。このIPAは、ナシやリンゴ、トロピカルフルーツのような香りが特徴の「カリプソ」をメインに、複数のホップを使用。さらに、ひと手間かけたホップを漬け込むことでフルーティな香りと上質な苦みを引き出しています。

グランドキリン IPA。税抜258円

IPA大国、アメリカの輸入ものよりは苦味が抑えられていて、その分柑橘系のフルーティさはしっかり。麦のうまみもしっかりと感じられ、爽やかなのど越しも。ビール本来の特徴を残しながらIPAの魅力を表現した、飲みやすくて入門にぴったりな一本という印象です。

グランドキリン IPA
税抜258円
https://www.kirin.co.jp/products/beer/grandkirin/

 

攻めているけど飲み疲れない。「パンクIPA」

アメリカで人気沸騰したIPAのルーツはイギリスなのですが、そのイギリスで屈指の人気を誇るクラフトブルワリーが「ブリュードッグ」。そんな同メーカーの名物が「パンクIPA」です。最新版の量は違うかもしれませんが、“一般的なラガービールの40倍以上のホップを使う”というのがこの商品のウリで、手間を惜しまず力強いアロマを引き出しています。

ブリュードッグ パンクIPA。税抜360円

生い茂った草原に吹く風のようなグラッシーなビター感が印象的で、南国果実やグレープフルーツを感じさせるフルーティさも。“パンク”から想像されるパワフルさはありながら下品な要素は皆無で、アルコール度数も5.6%と強すぎません。芯をもちながら、攻めるところは攻めて好バランスに仕上げた飲み疲れないビール。完成度の高さを感じます。

ブリュードッグ パンクIPA
税抜360円
https://whisk-e.co.jp/products/punkipa/

 

陽光のような明るさ。「ブルックリン ディフェンダーIPA」

アメリカでクラフトビールのムーブメントを起こしたカリスマ「ブルックリン ブルワリー」のIPAといえば「ブルックリン ディフェンダーIPA」。トロピカルフルーツのような香りとしっかりとした苦味、爽快な後味が特徴です。揚げ物や濃い味わいの料理との相性も抜群。

ブルックリン ディフェンダーIPA。税抜390円

ビター感はしっかりめで、エネルギッシュな柑橘感や麦の甘やかなボディも十分。晴天の青空からさんさんと降り注ぐ陽光のような明るさがあって、とはいえアッパーになり過ぎない上品さも感じます。全体的に濃厚ながら、アルコール度数は5.5%とちょうどいいキック力。こちらもIPA入門におすすめできる一本です。

ブルックリン ディフェンダーIPA
税抜390円
http://www.brooklynbrewery.jp/beers/brooklyndefenderipa/

 

苦味を控えて甘味豊かに。「クリスタルIPA」

“日本のモノづくりとテクノロジーの融合”が理念のスタートアップ、MOON-X社のクラフトビールブランドがCRAFT X。その第1号商品で、進化する次世代ビールとして話題になっているのが「クリスタルIPA」です。日本のクラフトビール界でも有名な常陸野ネストビールとタッグを組み、IPAでありながらもクリアで苦味を抑えた飲みやすさが特徴です。

クリスタルIPA。6缶セット税抜3800円(送料込み/1本あたり633円)

柑橘感とともにマンゴーやマスカット系の甘酸っぱいニュアンスも彷彿(ほうふつ)とさせる味わい。濃厚ながら苦味は強すぎず、ビール自体のボディはふくよか。ビターさを控えている分甘味を感じられるIPAで、飲みやすく仕上げられていると思います。

クリスタルIPA
6缶セット税抜3800円(送料込み/1本あたり633円)
https://www.craft-x-beer.com/

  

温かみを感じる爽やかさ。「MURAKAMI SEVEN IPA」

キリンの子会社であり、クラフトビールブランドであるスプリングバレーブルワリー。その限定品のひとつが「MURAKAMI SEVEN IPA」。希少な日本産ホップ、MURAKAMI SEVENを使った、いちじく、みかん、マスカットをイメージさせる香りが特徴です。

MURAKAMI SEVEN IPA。6本セット税抜3120円(送料込み/1本あたり520円)

甘味や酸味は控えめながら、ジューシーなテイストはしっかり。苦味は青々しくてフレッシュ。底抜けの明るさとまではいかない、どこか落ち着きをもったIPAだと思います。柑橘フレーバーは、グレープフルーツというよりはみかんの方向性。熱さというより温かみを感じる爽やかさです。

MURAKAMI SEVEN IPA
6本セット税抜3120円(送料込み/1本あたり520円)
https://www.springvalleybrewery.jp/beer/murakamiseven-ipa/

IPAがなぜ苦いのか。それは大昔にインドからイギリスに「ペールエール」というスタイルのビールを送る際に傷まないよう、防腐剤の役割を持つホップを大量に投入したから。そのため「インディア」が名称に付いているのです。日本でおなじみのビールは「ピルスナー」というチェコがルーツのビアスタイルですが、実はスタイルの数は100種以上。いろいろと飲み比べて、ぜひお好みのビアスタイルを見つけてください!

※各公式オンラインショップで購入。各賞味期限は4~6カ月でした。また、商品名、価格、仕様、品揃え等は変更される場合があります。

[All Photos by Hideaki Nakayama]

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中山秀明

Hideaki Nakayama/ライター/編集/フードアナリスト

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とウェブメディアを中心に編集と撮影を伴う取材執筆を行うほか、TV番組や大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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