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渡邊玲子

POSTED BY インタビュアー/ライター/編集者 渡邊玲子 掲載日: AUG 29TH, 2023.

【インタビュー】蓮佛美沙子さんが明かす日々の暮らしとおうち時間のこだわりとは?

誰もが過ごすおうち時間……今回は、女優の蓮佛美沙子さんにインタビュー。映画『スイート・マイホーム』で、主人公の妻であり、2児の母でもあるひとみ役を務めた蓮佛さん。理想のおうち像から、おうちの中の好きな場所、おうち時間でいま一番やりたいことまで。

「齊藤工」名義で映画監督やプロデューサーとしても活躍する、俳優の斎藤工さんがメガホンを取り、2018年に第13回小説現代長編新人賞を受賞した作家・神津凛子さんの同名小説を映画化した『スイート・マイホーム』が、2023年9月1日(金)より劇場公開されます。

念願のマイホームを手に入れた幸せな一家が、ある不可解な出来事をきっかけに恐怖の連鎖に巻き込まれていく……というホラーミステリー。窪田正孝さん扮する本作の主人公・清沢賢二の妻・ひとみを演じた蓮佛美沙子さんに、理想のおうち時間について伺いました。

どんなときも穏やかで、他者へのリスペクトがあふれる「齊藤組」

――台本を読まれた感想は?

蓮佛:前半は割と穏やかな感じで物語が進むのですが、後半の「あれ?」「もしかして……?」となってからのスピード感の変化がすごく好きでした。また、結末を迎えたかと思いきや、さらにもう一段階驚きが……!

10代の頃にも一度お仕事をご一緒させていただいたプロデューサーさんに、ある意味ではとても責任重大なこのひとみという役を「任せたい」と思っていただけたことも、個人的にはすごくうれしくて。齊藤工監督作品で、窪田正孝さんが主演という座組みや物語も含めて、ワクワクが止まらなかったです。

――「清沢家」に対しては、どんな印象を持ちましたか?

蓮佛:「清沢家」は、表向きは奈緒ちゃん演じる本田に「理想の家族です」って言われるような家族ではあるのですが、ふたを開けると、実は妻のひとみがワンオペで家事や子育てを行なっていて、夫の賢二はほとんど介入していない。もともと夫婦の間にどこかくすぶっているものがあったところに、不可解な出来事が家や周囲で次々と起き始め、清沢家の関係性も変化していく……といった感じだったので、お芝居のさじ加減によって、変化のグラデーションの色合いも変わってくるんだろうな、と思いました。

――俳優でもある齊藤工さんが率いる「齊藤組」に初参加されてみていかがでした?

蓮佛:これはおそらく監督ご自身の人柄ゆえだと思うのですが、作品自体のおぞましい怖さとは裏腹に「ここにずっといたい!」と思うほど、「齊藤組」の現場はどんなときも穏やかで、誰に対しても常にリスペクトの念を欠かさないような組でした。私や窪田さんがお芝居しながら、「ここはちょっと動きにくいかな」と感じると、それを瞬時に監督が察知して、「あ、ここ変えましょうか」みたいな言葉をかけてくださって。

台本のト書き通りにいかないときも、その場のライブ感をとても大事にしながら余白をもって対処されているのを肌で感じました。やっぱり同じ俳優同士でもあるからこその、あ・うんの呼吸というか、言葉を交わさなくても共鳴できる部分だったのかも、とは思いましたね。

「人間の本質はすべて顔に出る!」と実感する俳優陣のお芝居

――そういった現場で、窪田さんたちとお芝居を交わされた感想は?

蓮佛:めちゃくちゃ楽しかったです。特に私はマサさん(窪田さん)とご一緒するシーンが多かったんですが、もはやお芝居をしているのも忘れるぐらいのナチュラルさで隣にいらっしゃるので、私自身も「よし、ひとみをやるぞ!」みたいな気負いを感じることなく、現場にいられたんです。のびのびとひとみに集中できる環境は、まさに監督とマサさんが作ってくださったものだなって、すごく感じています。

――完成した映画をご覧になられて、どんな発見がありましたか?

蓮佛:「こんなにも表情が印象に残る映画はなかなかないんじゃないか」と思うくらい、賢二役の窪田さんの表情に完全に心をつかまれました。目線や表情のすべてに意味があって、マイホームを手に入れてうれしい顔とか、「何かおかしいな」って恐怖におののく顔とか、いろんな顔が脳裏に焼きつくんです。窪田さんに限らず、「人間の本質というものは、結局のところすべて顔に出るんだ」って、改めて実感させられました。

――ちなみに、蓮佛さんはホラー映画はお好きですか?

蓮佛:実は怖い映画はあまり得意じゃなくて……(苦笑)。『スイート・マイホーム』は、ホラー・ミステリーではあるんですが、きっと私みたいにホラーが苦手な方でも観ていただける作品になっていると思います。これからは私自身もホラーだからといって観る前から食わず嫌いしないで、いろんなジャンルの映画を観ていきたいなと思いました。

蓮佛さんが描く”スイート・マイホーム”と理想のおうち時間とは…?

――清沢家では、床下の巨大な暖房装置で家中の空気を暖める「まほうの家」が“理想の家”とされていましたが、 蓮佛さんが思い描く“スイート・マイホーム”とは?

蓮佛:本当に私、家が大好きで、仕事がないときはほぼ引きこもりのような状態で(笑)。ず~っと家にいるんです。自分の好きな家具やインテリアに囲まれた空間で、ぬくぬくと映画や動画を観たりさえできれば、それだけで幸せなんです。

ということは、すでに理想の家は叶っているといえるのかも。障害物のない四角い間取りがいいですが、広さにこだわりがあるわけではないので、落ち着くな、心地いいなと思えたら満足です。

――そんな居心地のいい蓮佛さんのおうちの中で、特にお気に入りの場所はどこですか?

蓮佛:リビングにある、5年以上前に奮発して買った、茶色いコーデュロイのふかふかのソファの上ですね。いつもご飯を食べているテーブルの椅子も、ベンチみたいな横長の形なので、食べ終わった後そのままそこでゴロンって横になったりすることもあります(笑)。

――おうちでリラックスしたいときは、どんな音楽をかけますか?

蓮佛:これを言ったら、ちょっと心配されるかもしれないですが……(笑)、環境音のアプリに最近ハマっています。全国各地に流れるいろんな川や、森の音をライブ配信しているアプリがあって。夜、お風呂上がりに川のせせらぎを聴きながら、ストレッチしたりしてます。それから、海外の森で料理をひたすら作っている人のアカウントもSNSでたまたま見つけて。わんこと一緒に、川の砂利みたいなところにまな板を置いて料理をしているんですが、それがすごくおいしそうなんですよ~。あとは、全然知らないご家庭の、会ったこともない子どもの写真をSNSで見て、「大きくなった!」って勝手に成長を見守っている時間もすごくリフレッシュできます(笑)。

――普段、台本もおうちの中で覚えることが多いですか?

蓮佛:家じゃないと覚えられないです。パッと読んだだけですんなり頭に入ってくるものもあれば、 写経みたいに書いて覚えたりすることもあって、だいたいそのどちらかですね。今回はパッと入ってくる感じだったので書かずに覚えた気がします。時代劇をやるときなんかは言葉遣いが現代と違うので、おうちで声に出してセリフを言ってみたりしますね。

――劇中、ひとみが魚をさばいている場面が衝撃的でしたが、蓮佛さんもお料理されますか?

蓮佛:はい、基本作ります。ふるさと納税で頼んだたらこを使った「たらこパスタ」にハマって、最近は週2、3回作ってますね。簡単でおいしくてたんぱく質もある程度とれるし。おすすめです♪

――映画では不穏な出来事に苛まれる清沢家ですが、蓮佛さんの“理想の暮らし”とは?

蓮佛:願わくば、朝早く起きて カーテンを開けて、「あぁ、いい朝だなぁ~」って言ってみたり、なんならちょっとした朝活やお散歩もしてみたいのですが……残念ながら、いままで一度もできたことはないですね(苦笑)。実は私、めちゃくちゃ夜型&ロングスリーパーで。朝、気持ちよく起きられないのがずっと悩みの種なんです。それこそコロナ禍のステイホーム期間に、「規則正しい生活をしよう!」と思って一度早寝早起きを試してはみたんですが、「まだ朝じゃん!」「せっかくなら昼まで寝たい」って、ついつい2度寝をしちゃうんですよ。

ちなみに、寝具にもこだわりがあって、これまたちょっと奮発して買ったマットレスと、友達から誕生日プレゼントでもらった、クルクルって巻くだけの“今治タオルの枕”を使って寝ています。

――蓮佛さんが、いまおうち時間で一番やりたいことは?

蓮佛:大掃除! 寒いから年末ではなく春にやることが多いんですが、今年はそんなにがっつりやれていなかったから、時間があったら窓掃除とか、網戸掃除がしたいです。私、掃除も好きで、おうちを心地よく整えるのも大好きなんですよ。結局、すべてがそこにつながるというか。「精神状態が安定してないと部屋が荒れる」ってよく聞きますけど、私も本当にその通りだなと思うので。忙しすぎて心が荒むと、机の上にいろんなものがどんどん溜まっていくんです。精神衛生のためにも、おうちはきれいに保ちたいですね。

――確かに、おうちがきれいになると気分も晴れやかになりますよね。素敵なお話をありがとうございました! 

『スイート・マイホーム』
©2023『スイート・マイホーム』製作委員会 ©神津凛子/講談社
配給:日活 東京テアトル
公開日:9月1日 全国公開

写真/安岡花野子
取材・文/渡邊玲子

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渡邊玲子/インタビュアー/ライター/編集者

映画配給会社、新聞社、WEB編集部勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。国内外で活躍するクリエイターや起業家のインタビュー記事を中心に、WEB、雑誌、パンフレットなどで執筆するほか、書家として、映画タイトルや商品ロゴの筆文字デザインを手掛けている。イベントMC、ラジオ出演なども。

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