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POSTED BY ライター/パティシエ/ときどき通訳 sweetsholic 掲載日: JUN 26TH, 2020.

フランス流シンプルで豊かな暮らしのヒント【3】色んな場面で役立つ、フランス人のエスプリ「システムD」

みなさんが思い描く、豊かな暮らしとは? フランスで暮らしていると、毎日を工夫しながら過ごすのも、人生を豊かにするひとつの方法だと気づきます。でもそれは、憧れのスローライフとは少し異なる、本当にちょっとした暮らしの知恵なのです。この連載では、毎日を快適に過ごすコツやアイデアなどを南フランスよりお届けします。

今回は、さまざまな場面で活用できる「システムD」という考え方について。

システムDとは?

お部屋の模様替えをしたいけれど、今月は出費を抑えたい。そんなとき、みなさんはどうしますか? 1. 財布に余裕ができてからにする。2. お金をかけずに模様替えを実行する。

2を選んだ人は、システムDを心得ています! システムD(Système D)とは、“家や身近にあるもので工夫する、臨機応変に対応する”という、フランス人のエスプリです。

※エスプリは、フランス語で“精神”という意味。

ところで「Dって何? なぜAでもなく、BでもなくD?」と思いませんか? Dは「何とかする」という意味のフランス語“débrouille(デブルィユ)”の頭文字をとったもの。“Système débrouille”を省略して、システムDというわけです。

こんなときに使います

日常のさまざまな場面で使えるテクニックです。“市販のマスクが手に入りにくいから、古くなった洋服やハンカチを使って手作りマスクを作ってみた”なんていうのも、もちろんシステムD! 

「なければないなりに、家にある物で工夫する。すなわち創意工夫」ー フランス人の義母曰く、これがおうちでのシステムDのエスプリだそうです。

我が家のシステムD

工夫することで、日々の暮らしがちょっとラクに。フランス人の夫と一緒に考えた、我が家のちょっとしたシステムDをご紹介します。

食器棚で遊ぶ赤ちゃん
(c)sweetsholic

リビングにある食器棚に、手が届くようになってしまった10カ月の娘。カパカパと棚を開けては、ジャムの空き瓶やケーキ型を取り出して遊んでいます。ビンが割れたりしたら、危ないですよね。そこで赤ちゃん用ドアロックをネットで注文したものの、なかなか家に届かない!!緊急対策として、強度のあるリボンをドアロック代わりにしたところ···。

家にあったリボンを食器棚のドアロック代わりに
(c)sweetsholic

これが大成功! 料理の最中に赤ちゃんを心配するストレス、またキッチンと食器棚を往復するムダな時間もなくなり、キッチンで過ごす時間が快適に。

このように、少し頭をひねれば誰にでも思いつく、ちょっとしたアイデアです。

フランス人の知恵袋

前回ご紹介した「アール·ド·ヴィーヴル」(フランス流·日々の暮らしを楽しむ心がけ)は、ライフスタイルの選択であり、日々を楽しくするための生き方です。

システムDは、お金や時間がない···など選択肢がない場合に、臨機応変に対応する発想力。そして英語圏でよく使われる“日曜大工的な意味合いのDIY”よりも、広義の意味をもつ考え方でもあります。

物事がうまく行かないとき。あるいは、難しい局面に立たされたとき。そんなときにも、システムD! 発想の転換で、柔軟に、臨機応変に対応できる知のチカラを身につけたいものですね。

[Photos by Shutterstock.com] 

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sweetsholic/ライター/パティシエ/ときどき通訳

海外を放浪しながら気ままな人生を謳歌しているフリーライター、パティシエ。現在の居住地は南フランス。海外のライフスタイルや、各国で学んだお料理などをみなさまと共有できればと思っています。 世界の文化とスイーツ、地中海料理、マレーシアが大好き。

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