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倉田直子

POSTED BY ライター/タイニーハウス・ウォッチャー 倉田直子 掲載日: NOV 9TH, 2019.

小さな家の豊かな暮らし【7】タイニーハウス住人の自給自足スタイル

「タイニーハウス」をご存知ですか? 様々なとらえかたがある言葉ですが、だいたい20平方メートル程度の小さな家を意味します。さらに、車でけん引できるモバイルハウスであることも。いま世界中でこのタイニーハウスの愛好者や、タイニーハウス生活を夢見る人々が増えていて、「タイニーハウス・ムーブメント」を巻き起こしています。このシリーズでは、オランダでタイニーハウス生活を営む人々や、素敵なタイニーハウスをご紹介します。

>>>【連載】小さな家の豊かな暮らし〜オランダ発 タイニーハウス 〜

「タイニーハウス・ムーブメント」とは?

放し飼いのニワトリたち
マリョレインさんの庭でくつろぐニワトリたち
(c)Naoko Kurata

タイニーハウス・ムーブメントのきっかけは、2008年に発生した世界規模の金融危機「リーマン・ショック」だと言われています。この経済危機をきっかけに、「豊かさってなんだろう」「家ってなんだろう」「本当に必要なモノは何?」と多くの人が考えるようになったのです。そこからタイニーハウス生活が注目を浴びるようになりました。必要最低限のものだけを所有し、ローンのいらない小さな家に住む。そんな「小さくても豊かな暮らし」は、欧州オランダにも伝わりました。


今回は、オランダのタイニーハウスの住人たちが実践している、自給自足スタイルのご紹介です。

「小さな暮らし」でもできるプチ自給自足


「Proeftuin Erasmusveld」の看板
「Proeftuin Erasmusveld」の看板
(c)Naoko Kurata

「小さな暮らし」を夢見る方なら、一度は自給自足的な生活に憧れたことがあるのではないでしょうか。最初から完全な自給自足はハードルが高いですが、できることから少しずつ始められたら素敵ですよね。オランダのタイニーハウス住人たちも身近なことから始めているので、その一端をご紹介しますね。

「Proeftuin Erasmusveld」の広々とした農園
「Proeftuin Erasmusveld」の広々とした農園
(c)Naoko Kurata

まずその筆頭は、パーマカルチャーを目指す「Proeftuin Erasmusveld」の住人たち。「家庭菜園」と呼ぶには大きすぎる農園を運営し、自給自足を心がけています。

マリョレインさんのタイニーハウス
マリョレインさんのタイニーハウス
(c)Naoko Kurata

マリョレインさんの自家菜園コーナー
マリョレインさんの自家菜園コーナー
(c)Naoko Kurata

さすがに「Proeftuin Erasmusveld」ほどの規模の農園は、一般的には難しいですね。けれど、オランダのタイニーハウス・ムーブメントの先駆者である マリョレインさんも、家の前のスペースに自家菜園を設けているんですよ。

テラスの上の鉢植えたち
テラスの上の鉢植えたち
(c)Naoko Kurata

ちょっと見えにくいですが、テラスの上の大きい鉢植えはリンゴの木で、実が赤く色づいているのが分かります。自家製リンゴのアップルパイとか、焼けたら素敵ですね。

ビル・ゲイツも推奨する養鶏


マリョレインさんの庭のニワトリたち
マリョレインさんの庭のニワトリたち
(c)Naoko Kurata

ニワトリを飼い、新鮮な卵をいただく養鶏派も、タイニーハウス住人にはよく見られること。お子さんと住む「Tiny Village Kleinhuizen」のカリンさんご一家や、前述のマリョレインさんは、ご自宅の前のスペースで、複数のニワトリを飼っています。

快適そうなニワトリ小屋
快適そうなニワトリ小屋
(c)Naoko Kurata

マリョレインさんは、立派なニワトリ小屋も設置しています。清掃などの手間があり、ニワトリの世話は決して楽ではないようですが、しっかり卵を産んでくれるので、マリョレインさんもニワトリのいる生活に非常に満足しているのだそう。

ニワトリは、新鮮で安全な卵をもたらしてくれる
(c)Shutterstock.com

意外なことに、マイクロソフトの共同創業者であるビル・ゲイツ氏も養鶏の推奨派なんです。ただし、彼の場合は自分自身で養鶏を楽しむというよりも、「世界を変えるための方法」として注目しているのだとか。「もし私が1日2ドルで生活していたら、ニワトリを育てます」と前置きし、低コストで手間がかからず、繁殖させやすい養鶏は、女性の経済的自立に役立つと述べているのです。

つまりゲイツ氏は、アフリカなどの貧しい家庭や経済力のない女性でも、ニワトリを飼うことで経済力をつけられると考えているのです。そうやって教育や健康に女性の判断でお金を払えるようになると、世界は変わっていくということなのでしょう。なるほど、養鶏には世界を変える力があるようです。

あこがれの養蜂あれこれ


オランダの菜園にたたずむビーホテル
オランダの菜園にたたずむビーホテル
(c)Naoko Kurata

自給自足ライフで、養鶏と同じくらい人気なのが「養蜂」です。ニワトリに「世界を変える力」があるなら、ハチには「世界を活かす力」があります。

植物の受粉に大きな役割を果たすハチは、農業の強い味方。有名なアインシュタインが、「ミツバチが滅べば(作物が収穫できなくなり)人間は4年で滅びる」と述べたことはよく知られています。
農園の中には、そんな受粉ヘルパーであるハチのための家を作って、簡単な養蜂をしているところも。上の画像中央のタワーも、ハチの巣です。英語圏では「ビーホテル」(Bee Hotel)と呼ばれています。

ビーホテル
小ぶりなビーホテル
(c)Shutterstock.com

実は、タイニーハウスの住人の家ではビーホテルを見かけた記憶はありません。けれど、オランダでは街中にも気軽に設置されています。養蜂家のように立派な養蜂箱ではなくても、このようにコンパクトなビーホテルを作ることもできるのです。これなら、必要以上にハチが集まりすぎることはなさそうですね。

ちなみにこういったビーホテルは、ハチミツを取るためというよりも、ハチ達に野菜の受粉を助けてもらうためのものです。

お洒落な養蜂ケース「ModularHoneybee Habitats」
お洒落な養蜂ケース「Modular Honeybee Habitats」
(c)BEEcosystem LLC


けれど、「どうしても自家製ハチミツを楽しみたい!」という方には、こんなインスタレーションがおすすめ。リビングルームに飾っても違和感のない、スタイリッシュな巣箱です。ハチたちはチューブ経由で外に出るので、室内で飛び回ることはありません。画像では巣箱が3つ連結されていますが、もちろん1つからでも使用OK。これは試してみたいですね。

「小さな暮らし」の中の自給自足、いかがでしたでしょうか。みなさまの暮らしの、何かのヒントになれば幸いです。

[Photos by Shutterstock.com]
[gatesnotes]
[BEEcosystem LLC]

>>>【連載】小さな家の豊かな暮らし〜オランダ発 タイニーハウス 〜

倉田直子

Naoko Kurata/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

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