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POSTED BY ライター/タイニーハウス・ウォッチャー 倉田直子 掲載日: SEP 15TH, 2019.

小さな家の豊かな暮らし【1】家で人生が変わったマリョレインさん in オランダ

「タイニーハウス」をご存知ですか? 様々なとらえかたがある言葉ですが、だいたい20平方メートル程度の小さな家を意味します。さらに、車でけん引できるモバイルハウスであることも。いま世界中でこのタイニーハウスの愛好者や、タイニーハウス生活を夢見る人々が増えていて、「タイニーハウス・ムーブメント」を巻き起こしています。このシリーズでは、オランダでタイニーハウス生活を営む人々や、素敵なタイニーハウスをご紹介します。

オランダ タイニーハウスムーブメント

「タイニーハウス・ムーブメント」とは?

オランダ タイニーハウス Marjolein in het klein
マリョレインさんの住む「Marjolein in het klein」

タイニーハウス・ムーブメントのきっかけは、2008年に発生した世界規模の金融危機「リーマン・ショック」だと言われています。

この経済危機をきっかけに、「豊かさってなんだろう」「家ってなんだろう」「本当に必要なモノは何?」と多くの人が考えるようになったのです。

そこからタイニーハウス生活が注目を浴びるようになりました。必要最低限のものだけを所有し、ローンのいらない小さな家に住む。そんな「小さくても豊かな暮らし」は、清貧を良しとする欧州オランダにも伝わりました。

初回である今回は、オランダにおけるタイニーハウスの先駆者である女性と彼女のタイニーハウスを紹介させてください。なんでもその女性は、「タイニーハウスを建てて人生ががらりと変わった」そうですよ。

理想の暮らしを叶えるタイニーハウス

オランダ タイニーハウス Marjolein Jonkerさん
Marjolein Jonkerさん

こちらが、そのタイニーハウスのオーナーであるマリョレインさん。2016年から、アルクマールという街に可愛らしいモバイルハウスを設置して住んでいます。アメリカのタイニーハウス・ブームが少し遅れて訪れたオランダでは、マリョレインさんはタイニーハウス生活の先駆者です。

タイニーハウス 入り口
出入口と窓を兼ねたドア

早速、家の中を見学させていただきましょう。

タイニーハウス 屋内
必要なモノは、すべてそろっている

これは、入り口を入って右手の光景。多くのタイニーハウスがそうであるように、マリョレインさんの家はロフトが寝室コーナーになっています。ロフトにははしごではなく、画像左端に見える棚の階段を使います。冷蔵庫の上だって、立派なステップです!

タイニーハウス キッチン
コンパクトだけど機能的なキッチン

そして、モバイルハウスとは思えないほどしっかりしたキッチンが。オーブンもあり、マリョレインさんはここでクッキーを焼いたりもしています。

タイニーハウス キッチン 扉の奥がバスルーム
扉の奥がバスルーム
タイニーハウス コンポストイレ
環境にやさしいコンポストトイレ
タイニーハウス シャワー
腰湯もできるシャワースペース

そしてキッチンの奥には、バスルームが。コンポストトイレと、シャワーブースが完備されています。このシャワーユニットは面白くて、普通のものより深さがあるので、お湯をためてバスタブのようにも浸かれるのです。入浴をそれほど重要視していないオランダでは、一般家庭でも珍しいタイプです。

収納とカウチソファ

視線を入り口の左側に転じると、そこには居心地の良さそうなカウチソファが。ソファの上下や横のボックスは、容量たっぷりの収納を兼ねています。まったく無駄なスペースがありません。

タイニーハウス 猫
マリョレインさんの愛猫くん

そして、猫も暮らすこの家には、特別な仕掛けがあるのを発見。実は、人間用ドアの横に猫専用の出入り口もあったのです。

タイニーハウス 猫の通用口
猫の通用口

これなら、ドアを締め切る冬や夜でも自由に出入りできますね。気ままな猫もストレスなくタイニーハウスで同居できそうです!

タイニーハウス・ムーブメントを牽引するマリョレインさん

タイニーハウス オープンデー告知ボード
月一回のオープンデー告知ボード

オランダにおけるタイニーハウスの情報ポータルサイト「Tiny House Nederland」を開設・運営していたことから、以前からタイニーハウス・ファンの間では知られた存在だったマリョレインさん。けれど2016年5月にこの家に住み始めて以来、様々なメディアの取材にされ露出が増えたことで、今までタイニーハウスを知らなかった人にも知られるようになってきました。

見学者に説明をするマリョレインさん

オランダのタイニーハウス・ムーブメントを牽引する存在となった彼女は、タイニーハウスに関するレクチャーやワークショップの講師も務めるようになりました。実は、オランダはモバイルハウス(オフグリッドハウス)に関する規制が複雑で、そこがタイニーハウス生活希望者の頭を悩ませています。オンラインコースの受講者から「良くわからなかった法律面のことがよく理解できた」と非常に高いフィードバックを得ているのだとか。

「Tiny House Alkmaar」の移住してきた家たち

そしてタイニーハウス生活3年目の2018年、彼女の生活に「非常に大きな変化」が起こりました。そう、実は彼女の住む敷地内に、タイニーハウスが増えたのです!

彼女のタイニーハウスがあるアルクマールという自治体に「自分もマリョレインのようにタイニーハウスに住みたい」「どのようにすればいいのか」という問い合わせが400件も寄せられたため、自治体はマリョレインさんにタイニーハウスに関する組織のオーガナイズを依頼。そこから彼女は数名の熱烈な希望者と協力し、「Tiny House Alkmaar」という住宅共同組合を設立しました。

自治体は、この「Tiny House Alkmaar」に「この敷地内に5名が最大5年、(オフグリッド)タイニーハウスに住むことを許可する」と決定したのです。つまり、一般人の問い合わせが自治体を動かしたということ。確かにこれは、「タイニーハウスで人生が変わった」と言えますね。

タイニーハウスに興味津々なオランダ人たち

彼女の住む場所は決して極端な僻地ではなく、アルクマールという大きな街の主要駅から徒歩10分程度というアクセスの良い場所にあります。そんな場所でこんなに豊かな生活が営めるなんて本当に羨ましいです。

今後もオランダのタイニーハウス・ムーブメントの中心的存在になっていくことが間違いないマリョレインさん。彼女の家と共に、その活動からも目が離せませんね。

>>>【連載】小さな家の豊かな暮らし〜オランダ発 タイニーハウス 〜はこちら

[All Photos by Naoko Kurata]
[Marjolein in het klein]
[Tiny House Alkmaar]

倉田直子

Naoko Kurata/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

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