日本には、季節感や感情を表現する美しい言葉がたくさんあります。この記事では、各月にふさわしい美しい日本語を一覧にしながら、和文化研究家の三浦康子が日本語はなぜ美しいのかを紐解いていきます。自然の響きや感情を表す言い回しや単語を知ることで、日本語の奥深さや美しさを再認識しませんか?

4月の美しい日本語

新生活が始まる4月。気持ちも華やぐこの時期に使いたい美しい日本語をご紹介します。
- 花日和(はなびより)
お花見をするのにちょうどいい、晴れて穏やかな天気。 - 花冷え(はなびえ)
桜が咲くころの一時的な冷え込み。暖かくなってからの寒の戻りのこと。 - 山笑う(やまわらう)
植物や動物が一斉に動き出す、春の山は、笑っているかのように見えるという意味の、春の季語。
季節を表す美しい日本語にふれると、心が豊かになります。折にふれ、手紙やメールなどで使ってみてください。
5月の美しい日本語

5月初旬の「立夏」に入ると、季節はもう初夏。緑のまぶしい時期に使いたい日本語をご紹介します。
- 若葉(わかば)
初々しい木々の緑を表す言葉。夏の季語。 - 薫風(くんぷう)
木々の間を吹き抜けて新緑の香りを運んでくる風のこと。 - 走り梅雨(はしりづゆ)
本格的な梅雨に入る前のぐずついた天気のこと。
5月は木々の緑を表すことばで、初夏の情景を美しく切り取ってみてはいかがでしょうか。
6月の美しい日本語

梅雨に入る6月。ことばひとつで雨を見つめる眼差しも変わってくるから不思議ですね。
- 五月雨(さみだれ)
梅雨の異称。梅雨の雨が降ったり止んだりする様子になぞらえ、物事が一度で終わらず断続的に続くことのたとえにも使われる。 - 梅雨寒(つゆざむ)
梅雨時に訪れる季節はずれの寒さのこと。 - 短夜(みじかよ)
夏の短い夜。その短さやはかなさを惜しむ気持ちが込めた言葉。
日頃からお天気を話題にする国だからこそ、季節を表す美しい日本語を役立ててみてください。
7月の美しい日本語

本格的に夏が始まる7月。梅雨が明けて日差しを感じるこの時期に使いたい日本語をご紹介します。
- 送り梅雨(おくりづゆ)
梅雨が明けるころの雨のこと。 - 青田波(あおたなみ)
一面が青々とした田んぼを「青田」。その上を吹き渡る風を「青田風」。その風で青田が揺れる様子を「青田波」と呼ぶ。 - 遠花火(とおはなび)
遠くで打ち上げられている花火のこと。
遠くかすかな音と共に浮かぶ花火や、青々とした田んぼなど、移ろう季節をこの時期ならではのことばで眺めてみてください。
8月の美しい日本語

8月初旬は、暦の上では「立秋」を迎えます。
- 蝉時雨(せみしぐれ)
たくさんの蝉が一斉に鳴く声を、時雨が降る音に見立てた言葉。 - 木霊(こだま)
山で音が反響し、遅れて聞こえる現象。 - 行き合いの空(ゆきあいのそら)
2つの季節が行きかう空。特に夏から秋へと移り変わるころに使う。
夏から秋へと歩みを進めていくこの時期は、自然をいつくしむことばが心に響きます。
9月の美しい日本語

秋の訪れを感じるようになる9月。
- 中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)
秋の真ん中である旧暦8月15日の十五夜。空が澄み1年で最も美しい月とされる。 - 虫聞き(むしきき)
秋の野山で虫の声を聞いて楽しむこと。 - 秋涼(しゅうりょう)
秋になって感じる涼しさや、秋の涼しい風のこと。
虫の音や、満月に涼しい風。季節の移ろいを実感するこの時期は、風情を感じる言葉が心に沁みます。
>>>“中秋の名月”など9月の手紙やメールで使いたい「季節の美しい日本語」
10月の美しい日本語

10月は深まる秋を実感する時季。
- 女心と秋の空(おんなごころとあきのそら)
変わりやすい秋の天気と、女性の移り気な心を重ねたことわざ。 - 十三夜(じゅうさんや)
旧暦9月13日のお月見のこと。十五夜に次いで美しい月。 - そぞろ寒(そろぞざむ)
季節の移ろいを感じさせる寒さ。体で感じる寒さというよりは、心で感じる寒さを表現する言葉。
昔の暮らしを思いながら、月を眺めてみても楽しいでしょう。
11月の美しい日本語

冬の足音が聞こえてくる11月。
- 小春日和(こはるびより)
旧暦10月ごろの暖かく穏やかな晴天のこと。新暦では11月ごろ - 時雨(しぐれ)
晩秋から初冬にかけて、急にぱらぱらと降り出しては止んでしまう通り雨。 - 酉の市(とりのいち)
日本各地のおおとり(鷲、大鳥、大鷲)神社の年中行事。11月の酉の日に立つ賑やかな市。
秋の虫なら「虫時雨」、木の葉なら「木の葉時雨」、朝に降れば「朝時雨」、夕方なら「夕時雨」、夜ならば「小夜時雨(さよしぐれ)」。それぞれの様子が伝わってきますね。
12月の美しい日本語

12月は冬本番の中、1年の終わりに向かう時期。
- 風花(かざはな)
風上の降雪地から、花びらが舞うように、風にのって流されてきた雪のこと。 - 一陽来復(いちようらいふく)
冬至、冬が去って春が来ること、新年がくること、悪いことが続いたあとで幸運に向かうこと。 - 年の瀬(としのせ)
「年の暮れ」「年末」「歳末」を指す言葉。
一年の締めくくりとなる12月。風流な言葉を師走に生かしてみてください。
1月の美しい日本語

1月は新しい年の始まり。心新たにスタートする時期です。
- 松の内(まつのうち)
年神様が滞在する、お正月を祝う期間。一般的には1月1日から7日まで。 - 初鏡(はつかがみ)
新年初めて鏡に向かってお化粧すること。 - 厳寒(げんかん)
厳しい寒さのこと。
気持ちも新たな1月は寒さが身に染みるときでもあります。始まりの月を、日本ならではの言葉で彩ってみてください。
2月の美しい日本語

2月は、余寒のなかにも春の足音を感じる時期。
- 立春(りっしゅん)
春の始まり。二十四節気では、1年の始まりでもある。 - 名残雪(なごりゆき)
名残を惜しむかのように春近くに降る雪。 - 春告鳥(はるつげどり)
鶯(うぐいす)。早春にほかの鳥に先駆けてさえずり始めることからそう呼ばれる。
日本人の感性が、希望の春と冬の名残をあらわすことばを生みだしました。
3月の美しい日本語

3月は日ごとに春めいてくる時季。
- 朧(おぼろ)
かすかではっきりしないという意味。春の夜の情感を表すときに使われる。 - お福分け(おふくわけ)
人からもらったものを他の人に分けてあげること。福を分けるというめでたさから、目上の方にも使える。 - 花便り(はなだより)
花の開花や見ごろを知らせる便りのこと
年度末で慌ただしくなりますが、この時季ならではの情景に心癒されます。

短い言葉で豊かな情景を表す日本語。これからも「季節の美しい日本語」を日々の暮らしに役立てていってください。
>>>【二十四節気<にじゅうしせっき>2025年一覧】専門家に聞く季節のめぐりと暮らしの知恵
>>>【季節の行事2025年一覧】専門家に聞く暦と由来、行事の楽しみ方

三浦康子
Yasuko Miura/和文化研究家
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、Web、講演などで活躍中。「行事育」提唱者。All About「暮らしの歳時記」、私の根っこプロジェクト「暮らし歳時記」などを立ち上げ、大学で教鞭もとる。著書『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)、監修書『季節を愉しむ365日』(朝日新聞出版)ほか多数。
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