サトイモはねっとりとした食感やぬめりが特徴。他のイモ類と比較してエネルギーが低めでミネラル豊富なので積極的にいただきたいところですが、「ぬめぬめして扱いにくい」「煮物以外のレパートリーが少ない」など、ハードルが高いと感じている人もいるのでは? この記事では、皮を簡単にむくワザ、料理のバリエーション、冷凍保存の方法、栄養価などについて紹介します。
目次
【特徴】親イモ・子イモ・孫イモと増えていく、子孫繁栄の縁起物
サトイモはサトイモ科のいも類で、原産は東南アジア。日本へは縄文時代に中国から伝わったとされ、米よりも古くから主食として食べられていたようです。山で取れる「ヤマイモ」に対し、里(村)で取れるので「サトイモ」と名がついたとされています。
サトイモは「種」ではなく「イモ」で増えていくのが特徴。大きな「親イモ」を中心に「子イモ」ができ、さらに「孫イモ」「ひ孫イモ」と増えていきます。親・子・孫と増えていくことから、正月料理などで子孫繁栄の縁起物として用いられます。スーパーなどで売られているのは、主に子イモや孫イモです。
主な産地は埼玉県、千葉県、宮崎県。9〜12月ごろに多く出回りますが、貯蔵性が高いので1年通して出回っています。
【選び方】しま模様がはっきりとして等間隔のもの、ずっしり重いものを
皮のしま模様がはっきりとしていて等間隔のものは、順調に生育した証拠。ふっくらと丸みがあり、持った時にずっしりと重いものを選びましょう。また、表面に変色や傷、ひび割れがないかも確認してください。
切り口が赤黒いものはエグみのある可能性が。また、さわった時にふかふかする箇所のあるものは傷んでいることがあるので避けましょう。
泥付きのものは洗ってあるものよりも保存がききます。保存するなら泥付き、すぐに調理するなら洗い済みと選び分けるといいでしょう。
【保存】適温は10度前後。冷凍保存するなら皮ごとがおすすめ
サトイモは寒さと乾燥に弱い性質があります。
もしも10度程度で風通しのよい場所があれば、そこで保存するのがベスト。乾燥を防ぐため、泥付きのものは泥が付いたまま、洗ってあるものもそのまま1つずつ新聞紙やペーパータオルで包んで保存すると、約1か月保存可能です。
そうした保管場所がなければ、冷蔵庫の野菜室へ。ただし野菜室は3〜8度と低温なので、そのまま入れると傷みやすくなります。泥付きなら泥を洗って水気を拭き取り、新聞紙やペーパータオルで包んでからビニール袋に入れましょう。1週間を目安に使い切ってください。
長期保存したい時は冷凍を。おすすめは「生のまま皮付きで冷凍」です。皮ごとしっかり水洗いして水気を拭き取り、1つずつラップで包んでから冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。約1カ月保存可能です。
使う時は、電子レンジで竹串がすっと通るようになるまで加熱を。熱いうちに皮を手でむくと、スルッと簡単に皮が外れます。やけどに気をつけて、ペーパータオルで包んでむきましょう。
上記の「生のまま皮付きで冷凍」だけでなく、「皮をむいて生のまま冷凍」「皮をむいて茹でてから冷凍」も可能です。どちらも使いやすい大きさに切ってから冷凍しましょう。使う時は、凍ったまま鍋に入れて煮物や汁物などに調理できます。
【栄養・効果】高血圧、便秘、糖尿病の予防に
サトイモの可食部100gあたりのエネルギーは53kcalです。主成分はエネルギー源となるでん粉ですが、イモ類の中でもエネルギーは低めでミネラル類が豊富。なかでも余分なナトリウムを排出するカリウムを多く含むため、高血圧予防に役立ちます。
サトイモの特徴でもあるぬめりの成分は、「ガラクタン」や「グルコマンナン」という食物繊維の一種。ガラクタンには血糖値の上昇を抑える働き、グルコマンナンには便秘や糖尿病を予防する働きがあり、生活習慣病の予防に役立ちます。
【食べ方】定番は煮物や汁物。コロッケやポテトサラダにも
サトイモはねっとりとした食感とぬめりが特徴で、煮物や汁物にするのが定番です。
ぬめぬめして皮がむきにくいのが難点ですが、皮ごとレンジ加熱してから手でむくとスルッとむけます。やけどに気をつけて、ペーパータオルで包んでむいてみてください。
また、ぬめりにも栄養素が多く含まれているので、できるだけぬめりを取らずに調理を。ただし、煮物にする場合はぬめりがあると味が染み込みにくくなるので、切ってからさっと水で洗い流すといいでしょう。
定番以外では、サトイモのマッシュポテトを試してみて。ジャガイモで作ることの多いコロッケやポテトサラダもサトイモで作ってみてください。ジャガイモとは違う、ねっとりとしてなめらかな口当たりを楽しめますよ。
監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html)
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。
栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。
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はな
hana/編集/ライター
コーヒーチェーン副店長から編集の道へ。現在は保育園児の母とフリーランス編集者の2足のわらじを履く、なんちゃってワーキングマザー。スポーツ観戦が生活の一部で、贔屓チームの勝敗が体調に影響を及ぼす厄介な体質。ワールドカップの日本開催を機にラグビーも勉強中。
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