現代社会は、何事にもスピードと効率を求められます。無駄を排除し、必要最小限のコストと努力で速やかに成果を出さなくてはいけません。けれど、無駄にはきっと、種類がありますよね。本当に省いていった方がいい無駄と、省いてしまうと心が痩せ細ってしまう無駄があるとイエモネは考えています。
そんな愛すべき無駄にじっくりゆっくり向き合いたいと考え、イエモネは「スローなニュース」をピックアップしていこうと決めました。
今回は、子供が巻き込まれる交通事故を減らそうと試みるオランダのニュースです。

(c)Naoko Kurata
ミッフィーの生みの親はオランダ出身
世界中で愛されている可愛らしいミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナ氏はオランダ出身。そういった関係から、ブルーナ氏のイラストをあしらったアイテムを国内の各所で見かけることができます。
中でも驚くのは、道路わきに交通標識のようにブルーナ氏のイラストが掲げられていること。例えば上の画像は、小学校の目の前にある車道の脇に掲示され、ドライバーに対し「近くに小学校があるよ」と呼び掛けています。

(c)Naoko Kurata
こちらは、もっと小さな子どもが通う保育園のような施設の近くや、公園横に掲示されることが多いようです。それらは国が定めた公式な交通標識ではなく、子どもの交通安全を啓蒙するプログラムを開発する企業の商品です。けれど公道を走るドライバーに対して、安全運転を喚起する役割を果たしていると言われています。
看板にはどの程度の効果が?

(c)Naoko Kurata
こういったブルーナ氏の看板がどれくらいドライバーの安全運転意識換気に役立つのかを調査するため、交通研究財団(SWOV)は老若男女1000人以上のドライバーに協力を仰ぎ実験をしたのだそう。それによると、このブルーナ氏のイラスト看板がある場合、走行速度が平均で4キロ遅くなったのだそう。SWOVは、「これは無意識の行動調整」であると考えています。
ブルーナ氏のイラストが描かれた看板を見ると、遊んでいる子どもたちを無意識のうちに連想し、脳が速度を調整しやすくするのだとか。イラスト効果すごいですね!
ただ残念ながら、毎日同じ道を走るドライバーは「1週間でその看板からもたらされる刺激に慣れてしまう」という調査結果もあるのだそう。そうはいっても、小学校の近くを走行するのは、毎日同じドライバーとは限りませんからね。そういった「たまたま通りかかったドライバー」がスピードダウンしてくれるだけでも効果は大きいのではないでしょうか。
時節ごとの特別バージョンも

(c)Naoko Kurata
そんな風に「慣れてしまう」ドライバーに対して新しい刺激を与えるため、随時新しいイラストの看板も投入されます。上の画像の看板には、ブルーナ氏による可愛い子どものイラストと「もうすぐまた学校に戻るよ!」というコメントが添えられています。これは、2019年の夏休み終盤に作られたデザイン。長い夏休みが終わる頃、また子どもたちの登校が始まるのだとドライバーに思い出させるための企画看板です。
同じデザインで小さい看板も存在しますが、この場所に掲示されていた看板はかなり大きく、ビビッドな色づかいもあいまって遠くからでも目につきそうでした。これは確かに、ドライバーにとって刺激になりそうです。
ブルーナ氏も協力的だった

(c)Naoko Kurata
この看板の製作している企業がはじめて企画をたてたときは、ディック・ブルーナ氏もまだご存命でした。そして、子どもの安全のための看板やプログラムというコンセプトに関心を示し、協力をしたと言われています。
子どもたちに何かを教えたり気づきを与えることがディック・ブルーナ氏の物語の本質なので、こういった交通安全のコンセプトに上手くマッチしたのかもしれません。
日本にも、こんなに可愛い看板があったらうれしいですね。子どもたちは交通ルールをきちんと守り、そしてドライバーのみなさまには、少しだけスローダウンして走行を心がけて欲しいと思います。
[‘Waarom het veiliger op straat is door Dick Bruna-borden’]
[Waarom kindertekeningen beter zijn dan verkeersborden]
[SPEEDING UP THE MOBILITY TRANSITION: MARCEL TJIN, LEER IN HET VERKEER]
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倉田直子
Naoko Kurata/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー
2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間」
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