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POSTED BY ライター Nao 掲載日: AUG 8TH, 2021.

【あの映画の、あの料理を再現!】<6>「戦場のピアニスト」の野菜と大麦のスープ

映画の中に登場する料理やスイーツ。おいしそうなシーンを見て、無性に「これ食べたい!」と思った経験がある人も多いのでは? この連載では、そんな映画を彩るグルメの妄想レシピをご紹介。あの名作のあの料理はどんな味?どうやって作るの?そんなギモンに応えるべく、筆者が独自に再現します。今回は、「戦場のピアニスト」から「野菜と大麦のスープ」にトライ。

ポーランド スープ 大麦

激動のポーランドを描いた真実のストーリー

実在のユダヤ系ピアニスト、W・シュピルマンの回想録を原作とした「戦場のピアニスト」。ナチスの弾圧を逃れ、戦火を奇跡的に生き延びる主人公の半生を描いた作品です。

過剰な演出は抑えられ、事実が淡々と映し出されることで、戦争が人や社会へもたらす影響が怖いくらいによく伝わってきます。物語の後半、シュピルマンがとあるキーパーソンを前にピアノを演奏するシーンは圧巻。深く心を打たれた人も多いのではないでしょうか。

shutterstock.com

ある日、シュピルマンはゲットーからの逃亡を決意。脱出後、まず初めに訪れたのが、後に住む隠れ家を手引きした友人の家。そこではスープとパンがふるまわれますが、ナチスの監視が厳しい状況下ではゆっくり落ち着いてはいられません。速やかに他所へ移動せねばならず、彼はスープを完食せずに席を立つことになります。

スープが登場するシーンはわずか数秒でしたが、その見た目からおそらく「クルプニック」であると推測できます。これは野菜と大麦が入った具沢山のスープで、ポーランドの家庭料理の定番中の定番なのだそう。

ポーランドの家庭料理にトライ

ポーランド スープ レシピ

「クルプニック」は家庭料理であるがゆえ、地域や各家によって材料もさまざまですが、今回はスタンダードなレシピで再現。日本で入手できる材料を用いて作ってみましょう。

主な材料は下記の通り。ポーランドでは乾燥マッシュルームを使うのが一般的ですが、今回はポルチーニで代用。骨から出汁をとる家庭も多い本場にならい、鶏ガラでスープを仕立てていきます。

材料(4人分)

  • 鶏ガラ 1個
  • 鶏もも肉 150g
  • にんじん 1/2本
  • じゃがいも 1個
  • セロリ 1/2本
  • 長ネギ(白い部分) 1/2本
  • ニンニク 1かけ
  • イタリアンパセリ 適量
  • 大麦(押麦でも可) 20g
  • ローリエ 2枚
  • 乾燥ポルチーニ 10g
  • 粒黒胡椒 数粒
  • 水 800ℓ
  • 塩胡椒 適量

作り方

大きめの鍋に水、鶏ガラ、ローリエ、軽く潰したニンニク、粒黒胡椒を入れて火にかけます。沸騰したら蓋をして弱火で30分、時々アクを取りながら煮込みます。

出汁をとっている間に野菜やお肉の下ごしらえ。ポルチーニは水で戻します。にんじん、じゃがいも、セロリ、長ネギ、戻したポルチーニ、鶏もも肉は全て1cm角にカット。

大麦は水で軽くすすぎます。

30分経ったら鶏ガラを取り出します。アクがまだ残っていれば取り除きましょう。

カットした野菜、ポルチーニ、鶏肉、大麦を鍋に加え15分ほど煮込み、仕上げに塩胡椒で味を整えます。

クルプニク ポーランド

器に盛り、刻んだイタリアンパセリを散らせばできあがり。鶏ガラでとったスープは濃厚なコクを湛え、コンソメ不使用ながらも奥行きのある味わいです。スープ定番の玉ねぎでなく長ネギを用いたことで、甘みが抑えられ、他の野菜の旨味が際立っているのも印象的。

スープが染み込んだ大麦はつるんと喉越しの良い食感。野菜や鶏肉を細かく刻んだことで、大麦との一体感も格別です。

野菜から生まれる甘みと鶏ガラの濃厚な出汁がお互いの存在を引き立てるような、クルプニック。ポーランドの家庭料理を作って、旅気分を味わってみてはいかがでしょうか?

[Photos by Nao]
※レシピは公式のものではなく、筆者が独自に再現したレシピになります。映画の内容については注意の上執筆しておりますが、事実と異なる部分がある場合には編集部までご一報(info@iemone.jp)いただけますと幸いです。

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Nao

nao/ライター

メーカー、ITベンチャー勤務を経てフリーランスに。
学生時代から旅を続け、渡航国は現在50カ国。
特技は陸路国境越え。グルメレポート翌日に大学の最先端研究を取材したり、ロシア州知事にインタビューしたり。幅広い対応力とフットワークの軽さが自慢。日本ソムリエ協会認定資格ワインエキスパート保有。

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