CATEGORY

片桐仁香

POSTED BY 編集/ライター 片桐仁香 掲載日: MAR 24TH, 2022.

タケノコの食べ方は?アク抜きや保存方法も詳しく紹介【専門家監修】

日本の春を告げる味覚のひとつ、タケノコ。水煮パックであればスーパーで1年中入手できますが、生ならではの滋味を味わえるのは春だけです。下処理には少々手間がかかりますが、旬のタケノコをたっぷり使ったタケノコごはんや土佐煮、若竹汁などは、やっぱり格別! 失敗しないアク抜き方法や、アクを抜いたタケノコの保存方法など詳しく紹介します。

>>>ブロッコリーの栄養を逃さない茹で方や茹で時間は?冷凍・保存方法まで【専門家監修】

【特徴】3月〜5月と旬の短い春野菜。一般に流通しているのは孟宗竹

タケノコの原産は中国。竹の地下茎から出た幼い茎を食用にします。食用タケノコの代表種は、孟宗竹(もうそうちく)。日本へは中国から江戸時代に伝わったとされています。

市場に出回るのは3月〜5月。生のタケノコはほぼ春にしか流通しないため、春の味覚の代表格です。

生産地は福岡県や鹿児島県、熊本県など、西日本が中心。ハウス栽培はわずかで、多くが露地栽培です。竹林で地面が少し盛り上がっている場所を探し、周囲を深く掘って収穫します。

孟宗竹の他には、

  • マダケ(真竹・苦竹)…細くて皮が黒いまだら模様、やや苦味が強い
  • ハチク(淡竹・甘竹)…細くて皮が赤茶色、やや甘味がある
  • チシマザサ(千島笹・根曲がり竹)…東北地方や北海道に多く、香りがよい

などもありますが、収穫量が少なく、流通している地域は限定的です。

タケノコを漢字で書くと「竹の子」または「筍」。「竹の子」はそのまま「竹の子ども」ですね。筍という字は「一旬(いちじゅん・10日間)で竹になる」という意味。実際、タケノコの成長はものすごく早いので、掘るのに適したタイミングを逃すとすぐに食べられなくなってしまいます。

【選び方】若さと鮮度が大事。穂先が黄色く、切り口はみずみずしいものを

一般で入手できる孟宗竹のタケノコは、ずんぐりとした釣鐘型で、外皮は薄茶色でしっとり、穂先は黄色いものが良品。根元の赤い粒々(根の生え始め)が小さくて少ないものは若いタケノコなので、やわらかいでしょう。

土の中のタケノコが成長して頭が地上に出ると光合成が始まって、かたくなり、えぐみも増します。皮が黒っぽく、穂先が緑色で、根元の赤い粒々が多くて大きいものは、成長しすぎなので避けたほうがよいでしょう。

また、タケノコは鮮度が命。根元の切り口が白く、みずみずしいものを選びましょう。切り口がカサカサに乾いていたり、茶色く変色していたり、根元の赤い粒々が黒ずんでいるものは収穫から時間が経っています。

【下処理】入手したら早めに下茹でしてアクを取り除こう

堀りたてのタケノコは柔らかく、えぐみも少ないので生で食べられることもありますが、それはごくごく短時間の話。収穫直後から時間が経つに連れてえぐみが増していくので、入手したらすぐに下茹でをして、アクを抜きましょう

用意するのは、中サイズのタケノコ2~3本に対して、米ぬか1カップと赤唐辛子1本。米ぬかはアクを吸着してくれます。米ぬかが手に入らない場合は、生米や米のとぎ汁で代用可能。赤唐辛子にはゆでたタケノコを傷みにくくする殺菌・防腐効果があります。

皮付きのまま茹でたほうが、アクが抜けやすく、やわらかく仕上がるといわれています。

アク抜きの手順

1:タケノコについている土を洗い流す。穂先の皮だけの部分(全体の1/5ほど)を斜めに切り落とす。火の通りをよくするために、皮の縦方向に深さ1〜3cmの切れ目を入れる。

2:深めの鍋に1を入れ、全体にかぶる量の水を注ぎ、米ぬかと赤唐辛子を入れる。

3:落としぶたをして火をつける(落としぶたは、タケノコが空気に触れて酸化・変色するのを防ぐため)。沸騰したら、吹きこぼれない程度の中火〜弱火で1時間ほど茹でる(中サイズの場合。大きさによって時間を調節する)。途中で水が減っていたら適宜足す。

4:タケノコに竹串を刺して、スッと入ったら火を止める。そのまま常温で4〜5時間冷ます(ひと晩おいてもOK)。この時間でアクが抜ける。

5:タケノコの皮をむき、米ぬかを水で洗い流す。

【保存】アク抜きしたら、水に浸けた状態で冷蔵保存を

アク抜きしたら、食べやすい大きさに切って密封容器に入れ、空気に触れないように水に浸して、冷蔵庫で保存1日に1回、水を替えます。旨味がどんどん抜けていくので3〜4日以内、長くても 1週間以内に食べきりましょう。

タケノコの冷凍保存はちょっと手間がかかります。そのまま冷凍すると、水分が流出して、かたい繊維だけが残り、スカスカした食感になってしまいます。冷凍する場合は、繊維を断つように薄くスライスして、薄味のスープ(だし汁、中華スープなど)と一緒に冷凍保存袋に入れて。使うときは、そのまま加熱解凍してスープなどにしましょう。

【食べ方】タケノコごはん、土佐煮、若竹汁などで満喫して

タケノコの人気料理といえば、タケノコごはん。茶碗に盛り付けて木の芽を添えると春らしさが一層際立つでしょう。

カツオだしや土佐醤油などで煮てカツオ節をまぶす土佐煮や、春のワカメとタケノコで作る吸い物の若竹汁も有名。木の芽和え、炒め物、天ぷらなどにも用いられます。

中華料理では八宝菜チンジャオロースなどが定番です。

【栄養・効果】食物繊維が豊富。カリウム、タンパク質も含む

タケノコのエネルギーは可食部100gあたり27kcal。

中サイズで1本800gほどですが、半分は皮など廃棄する部分なので、可食部は400gほどになります。

タケノコには食物繊維がたっぷり。食物繊維は腸内環境を整えるだけでなく、血糖値上昇の抑制や、コレステロールの吸収を抑える役割を果たします。

また、摂り過ぎた塩分を体外に排出するカリウムや、筋肉の材料になるタンパク質も含まれています。

タケノコの切り口に出る白いカス状のものは、アミノ酸の一種であるチロシンタケノコの旨味成分であり、人体に害はないので取り除く必要はありません。

監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。


栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。

[All Photos by shutterstock.com]

>>>安い!韓国食材がズラリとそろうスーパー 新大久保「YESマート」現地ルポ

>>>【油揚げレシピまとめ】味噌汁の具だけじゃない、おつまみからおもてなしの逸品まで12選

>>>【36の知っ得ライフハックまとめ】コバエ対策や超簡単な排水溝の掃除まで!家事が楽になる裏ワザ生活術

片桐仁香

Hitoka Katagiri/編集/ライター

CM制作会社を経て、2000年より編集プロダクション勤務。主に、ライフスタイル、料理、子育て、共働き、ダイバーシティなどのジャンルを担当。2人目の出産を機に2018年からフリー。元来の性格がスボラでナマケモノなので、時短ネタや便利ワザを探すのが好き。

関連するカテゴリの記事を読む

RECOMMENDおすすめ記事

グルメの記事