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POSTED BY ライター Aoi 掲載日: SEP 10TH, 2025.

【欧米で愛されるスーパーフード「パースニップ」とは?】どこで売ってる?希少な「国産パースニップ」の味わいやレシピをインタビュー

日本では珍しい存在ながら、欧米では日常的に親しまれている「パースニップ」。にんじんや大根に似た姿を持ち、加熱するとほくほくと甘みが増すのが特徴です。そんな希少な野菜を、鹿児島県垂水(たるみず)市で生産者とともに独自の農法により特産化に挑んでいるのが、壌結(つちむすび)合同会社。今回は代表・金瀬伸吾さんにお話を伺い、パースニップの魅力から調理法まで詳しくご紹介します。

【画像】「八百結び®のパースニップ」のアイキャッチ

「パースニップ」とは?

【画像】八百結び®のパースニップ

金瀬:パースニップはヨーロッパ原産で、セリ科に属する根菜です。収穫時は皮の部分が白いため“白にんじん”と例えられることも多く、古くから西洋料理などで親しまれています。

日本の市場では見聞きする機会の少ない「パースニップ」という野菜。にんじんや大根のような形状をしている根菜ですが、欧米では栄養価が高い“スーパーフード”として知られています。また、アメリカの農業シミュレーションゲーム『Stardew Valley(スターデューバレー)に登場したことをきっかけに、生育過程や味わいに興味を持つ国内のプレイヤーも急増中なのだそう。

「パースニップ」のおいしい食べ方レシピ

【画像】皿に入れたバターと調理道具

金瀬:パースニップは、生のままでは少しえぐみを感じるため食べづらい面もあります。しかし、加熱することで甘みが増し、香りやコクがより引き立つ。じゃがいものようにほくほくとした食感が楽しめるのも特長です。特にオリーブオイルやバターとの相性は抜群で、グラタンにすると濃厚な旨みが堪能でき、スープにすると素材そのものの栄養が溶け込みます。ポタージュのように仕立てると、舌触りもなめらかで絶品ですね。

ヨーロッパでは日常的に使われる食材ですが、日本でも肉料理や魚料理の付けあわせとして活用すれば、レシピの幅も広がり新鮮な魅力を感じていただけると思います。

火を通すと味わいが変化するパースニップ。今回は、豊かな土壌を育む新しい土づくりの農法ブランド八百結び(やおむすび農法®により栽培された、鹿児島県垂水(たるみず)市で生産している「国産のパースニップ」と、レトルト商品の「垂水パースニップポタージュ」を調理・試食してみることに。それぞれの食感や違いなどに着目しながらレビューします。

バターの香ばしさが際立つ「ローストパースニップ」

【画像】八百結び®のパースニップ

「八百結び農法®」で栽培されたパースニップは、生育過程によりサイズ差があるものの、約20cmと大きくどっしりとした根が特徴です。なお、収穫時期は12月~3月(旬は1~2月)とされますが、健康なかたちで生育しているため、酸化しにくく風味を損なわずにシーズン後もおいしく食べられます。

【画像】「八百結び®のパースニップ」の断面

試食時点で収穫から約5ヶ月経っていたため、断面はやや黄色みを帯びているものの、セリ科特有の爽やかな香りが鼻腔をくすぐります。にんじんと比較すると、皮の厚みや根の透明感が異なるため、見た目は似ているものの素材本来の味わいが変わるのもポイント。試しに生の状態で食べてみると、しゃきしゃきとした繊維で噛み応え抜群。ベジタリアンな筆者の舌を満足させるパースニップを通じて、晴れやかな大自然の恵みも感じられました。

【画像】「八百結び®のパースニップ」をバターでローストした「ローストパースニップ」

ヨーロッパで定番の「ローストパースニップ」にアレンジし、仕上げにクリーミーなバターをプラス。加熱することで生の状態よりも甘さが増し、マイルドな口当たりに変化します。食塩使用・不使用のどちらもジューシーなのですが、さまざまなフレーバーを楽しむなら、スパイスを一匙加えると“乙の味”に

優しくとろけてコク深い「垂水パースニップポタージュ」

【画像】「垂水パースニップポタージュ」のパッケージ

ダイス状にカットした「八百結び®のパースニップ」を贅沢に使用し、素材本来の風味を活かした「垂水パースニップポタージュ」。チキンブイヨンや玉ねぎの他、三温糖、オリーブ油などを加え、ミルキーな乳製品とともにポタージュに仕上げています。原材料名と栄養成分表示は以下の通り。

【原材料名】
パースニップ(鹿児島県産)、牛乳、チキンブイヨン、玉ねぎ、脱脂粉乳、バター、三温糖、食用オリーブ油、食塩、大豆油、(一部に乳成分・鶏肉・大豆を含む)

栄養成分表示(100mlあたり)※この表示値は、目安です。
熱量64kcal
たんぱく質2.0g
脂質1.9g
炭水化物10.3g
食塩相当量0.3g
アレルギー物質乳・大豆・鶏肉

【画像】「垂水パースニップポタージュ」にクルトンと粗挽きブラックペッパーをトッピングした様子

クルトンと粗挽きブラックペッパーをトッピングし味わってみると、まるでじゃがいものように口の中でほろほろと溶け、新体験となるおいしさの世界が広がります。ナッツに似た馥郁たる香りが感じられるのも、このポタージュの特徴の一つ。また、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富(※1)に含まれており、体にやさしいヘルシーな逸品です。

※1……鹿児島大学農学部・加治屋勝子先生の分析による栄養成分。

「パースニップ」はどこで買える?

【画像】「八百結び®のパースニップ」と「垂水パースニップポタージュ」

2025年8月時点、「八百結び®のパースニップ」と「垂水パースニップポタージュ」は、以下の公式オンラインショップから購入することが可能。

「八百結び®のパースニップ」

「垂水パースニップポタージュ」

ただし、収穫時期や商品リニューアルなどにより価格・販売状況が予告なく変更となる場合があります。詳細は八百結び®公式サイト、または各公式オンラインショップにてご確認ください

“パースニップ栽培の挑戦”についてインタビュー

とある野菜ソムリエとの出会いから始まった“欧米野菜”への挑戦

【画像】広大な土地一面に広がる畑

――まず、パースニップにはどのような特徴がありますか?

金瀬:パースニップは冷涼で乾燥した気候を好み、霜に当たると糖度が増すのが特徴とされます。しかし、日本は気候が異なる上に知名度も低かったため、これまで生産が広がりませんでした。そこで私たちは「栄養をいかに根そのものに届けるか」をテーマに改良を重ね、環境差を“壌(つち)の基盤力の向上”で乗り越える方針を取りました。現在も関係者様と密に連携して土壌環境の回復と栽培技術の最適化を図っています。

【画像】八百結び®のパースニップが畑で育つ様子

――なぜパースニップに着目したのか、きっかけを教えてください。

金瀬:垂水市は養殖漁業が盛んな土地ですが、他県からも認知されるような野菜が少ないのが課題でした。そこで「地域の特産品を作りたい」という想いから地元の青果市場がパースニップに着目し、約6年前に生産栽培を始めたのがきっかけです

現地での新たな活動をより多くの方に広めるべく、青果市場がコンタクトをとったのが、鹿児島県で第1号の野菜ソムリエに認定された米永千代美さんでした。米永さんは、野菜本来のチカラを引き出せる私たちが企画・推進する八百結び農法®に強く共感いただいており、“壌づくりと栽培法を両輪で見直しながら進めることがプロジェクトの発展につながる”と考えて、私たち(壌結合同会社)と青果市場様とを引きあわせてくださいました。

「八百結び農法®」とは、土着微生物の働きで土を発酵させて、壌本来のチカラを回復させる「環境再生型農法」です。結果として、健康な野菜や果実など、さまざまな植物がイキイキと育まれます。

【画像】八百結び®のパースニップ(夕景)

――実際に導入してみて、反応や売れ行きはいかがですか?

金瀬:国内での認知度はまだ高くありませんが、青果市場が販売に尽力する中で、道の駅などの実店舗でも取り扱われるようになりました。訪れた観光客が「初めて見る野菜」としてお土産に購入してくださるケースも少なくありません。

ヨーロッパ料理ではとても需要があり、フレンチやイタリアンの食材として重宝されています。青果市場を通じて“国産のフレッシュなパースニップ”を安定供給できる点は、レストランのシェフからも高い評価をいただいており、成果につながっていると実感しました。また、オンラインショップ(Amazon)で在日外国人のお客様からのリピート購入が目立つのも印象的です

作物の安全性を示す「マタニティフード認定」を取得

【画像】八百結び®と「マタニティフード認定」ロゴ
八百結び®と「マタニティフード認定」ロゴ

――八百結び®の野菜が「マタニティフード認定」を取得したと聞きました。

金瀬:「八百結び®の作物」として認定した農作物は、一般社団法人日本マタニティフード協会より「妊娠に向けて準備を行っている時期および妊娠期から授乳期にある母体に配慮した食材」と推奨いただき、「マタニティフード認定」の取得に至りました。「八百結び®のパースニップ」も、収穫後に残留農薬検査を実施して、“残留農薬未検出”という結果を確認しており、生育過程に自信を持って出荷できることを示しています。そのため、ひときわ食の安全性に配慮される妊活中・妊娠中・授乳中の方も安心してお召し上がりいただける作物です

挑戦の積み重ねが導いた“新たな栽培”のかたち

【画像】八百結び®のパースニップが畑で育つ様子

――次に、栽培上の工夫や苦労についてお聞きします。日本の気候や土壌では、どのような課題がありましたか?

金瀬:自然を相手にする農業は思惑通りには動いてくれず、一歩進んでは立ち止まる、そのくり返しです。特にパースニップの種子は発芽率が低く、形状のそろいにくさも課題となります。加えて、原産地と気候が異なる日本で品質を安定させるには、土壌環境を整える技術と栽培技術の両面が特に必要です。

その中で、垂水市の圃場はシラス台地であり、水はけがよいという利点があります。環境面では湿度が適した時期に栽培することで、桜島の降灰の影響に配慮しつつも、地中で育つ“根菜”という適性があるのも、地域にとって産地化を目指すメリットとなっているのです。そして垂水市での強みは、何といっても青果市場が直接取り組むことで、国産のフレッシュなパースニップをスピーディーに流通できる点。鮮度が求められるプロの現場で、常に期待に応えられる体制が整えられています。

【画像】八百結び農法®を導入した農場で育つ作物

――この取り組みを通して、地域にどのような影響やメリットがありましたか?

金瀬:これまで国内では栽培が難しいとされてきたパースニップを、垂水市から安定的に生産・発信できるようになったこと自体が、大きな価値を持っていると考えています。

「八百結び農法®」を導入後は、生産者様の努力があって土壌の循環強が整い、自然な栄養素が作物に届き、「ストレスがない立派なパースニップが収穫されるようになった」と言っていただけています。特に直近では正品率が高まりました。したがって青果のパースニップの流通量が増え、ひいては生産者様の所得の向上にもつながります。また、健康な作物は、自然な状態での保存期間も長くなり、青果での販売期間も長くとれるという効果も出ています。

現在、九州地方を中心にリピーターが増えており、近畿・中部・関東など全国各地にも販路が広がりつつあります。特に海外出身のお客様から再購入していただける点は、将来的に需要が高まる可能性もあるので、私たちが活動する励みになりますね。調理方法や味わいが広く知られるようになれば、家庭の食卓にも着実に浸透していくかもしれません

【画像】八百結び農法®を導入した農場で育つ作物

――地元の方々からは、どのような声や反応が届いていますか。

金瀬:新たな特産品が誕生することは地域にとって誇りに思いますが、新しい取り組みだからこそ、さまざまな期待や意見が寄せられているのも事実です。関係者の方々は「地元でとれた特別な作物を販売したい」と考えながら生産・販売に挑んでいます。その想いに共感し、“鹿児島県などを中心に応援してくださる支援者が年々増えている”と伺っているのもうれしい評価ですね。

栽培の現場では、「八百結び農法®」を導入することで、土壌の変化や天候など自然の影響を大きく受けず健康に育つのが魅力です。“壌本来のチカラ”を取り戻し、その活力を最大限に引き出すことで「おいしくて安全、安心して食べられる作物を育て続ける意味があるのではないか」と、私たちと一緒に消費者側のことを真剣に考えていただける生産者様が増えてきている点に確かな手応えも感じました

健康な野菜を食べることが、丈夫な体を作ることへつながる。今後も食を楽しめるような安全・安心の「国内産パースニップ」が垂水の特産品となるよう盛り上げていきたいです。

【画像】八百結び農法®を導入した農場の壌

農業の未来を切り拓く、高品質で栄養価の高いパースニップ

――最後に、イエモネ読者へ向けてメッセージをお願いします。

金瀬:日本ではなかなか栽培ができていなかったパースニップを、土壌から生まれる自然な栄養素をしっかりと吸収した良質な状態でお届けできる点が、この「八百結び®のパースニップ」の最大の魅力です。普段あまり馴染みのない野菜かもしれませんが、ぜひ一度フレッシュな国内産パースニップを手に取って、調理して新しい味わいの世界を楽しんでみてください

また、野菜を選ぶ際に「どのような土壌で育ったのか?」「なぜ味わい深い野菜に育つのか?」といった“壌のパワー”にも思いを巡らせていただけたらうれしいです。

八百結び®公式サイト:https://yaomusubi.com/
八百結び®公式オンラインショップ:https://shop.yaomusubi.com/

[取材協力:壌結合同会社/八百結び®プロジェクト]

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Aoi/ライター

世界の食文化が好きで、アジアを中心に北アメリカやヨーロッパ料理などを食べ歩く。静かにリラックスできる場所を選びがちなインドア派。川のせせらぎと雨音が癒やし。

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