2月22日は「おでんの日」だと知っていますか? 熱々のおでんを「ふー(2)ふー(2)ふー(2)」と冷ましながら食べる様子から、おでんを新潟の名物にしようと活動する「越乃おでん会」により2007年に制定されました。
この記事では、おでん出汁の作り方や具材の茹で方、煮る順番など、基本的なおでんの作り方をフードコーディネーターの筆者がまとめてみました。電子レンジでパパっと作れる簡単1人おでんや、意外とおいしい変わり種具材もあわせて紹介しているので、「おでんを作りたい!」と思ったときの参考にしてみてくださいね。
「おでん」の歴史
今ではコンビニでは熱々のおでんが、スーパーでは温めるだけでできる簡単おでんが売られていますが、現在の出汁で煮込むおでんが生まれたのは明治以降の東京。そこから関西へと伝わり、「関東炊き」と呼ばれる関西風のおでんも生まれたそうです。
ご当地おでんのいろいろ
そしてさらに、現在は20以上のご当地おでんが全国にあります。その土地ならではのさまざまな素材が使われており、出汁もいろいろ。
今回紹介するのは、かつおと昆布の出汁に、醤油味がしっかり効いた東京風のおでんです。そうそう、小麦粉を筒状にした「ちくわぶ」は、実は東京のローカル食材なんですよ。これも入れてみたいと思います。
基本のおでんの作り方
本格出汁で作る「おでんつゆ」
おでんつゆに出汁は欠かせませんが、出汁の取り方・使い方はさまざま。昆布とかつお節で本格だしを取るという人も、だしパックで煮だすという人も、顆粒の出汁を使うのも一般的です。
そして、基本のおでんの味付けに必要な調味料は、しょうゆ、みりん、お酒の3つ。配合は2:1:1。800mlの出汁の場合は以下の通りになります。
- しょうゆ ・・・ 大さじ2*
- みりん ・・・ 大さじ1
- お酒 ・・・ 大さじ1
*ただし、塩分があらかじめ入っている顆粒の出汁の場合には醤油を大さじ1.5にします。
<まとめ>
本格だし | 顆粒だし | 麺つゆ | |
水 | 800ml | 800ml | 660ml |
昆布 | 5g | – | – |
かつお節削り | 15g | – | – |
顆粒かつおだし | – | 小さじ1/2 | – |
顆粒昆布だし | – | 小さじ1/2 | – |
麺つゆ(2倍) | – | – | 140ml |
しょうゆ | 大さじ2 | 大さじ1.5 | – |
酒 | 大さじ1 | 大さじ1 | – |
みりん | 大さじ1 | 大さじ1 | – |
今回は本格出汁を取って作っていきましょう。準備するのは昆布とかつお節削りです。
1.水800mlに昆布5g(はがきの大きさの2/3くらい)を入れます。利尻こんぶや日高こんぶといった種類がありますが、今回は利尻こんぶで。出汁感がはっきりしている割にすっきりと仕上がるのでおすすめです。
中火以下でゆっくりと温度を上げていきます。こんぶの切り口から何やら出てきているのがわかりますか? これが昆布のうまみ成分です。沸騰する前に取り出しましょう。
2.沸騰したらかつお節削りを手で2つかみほど入れます。これでだいたい15g。すぐに火を止めて、3分ほどおいたら、ざるにキッチンペーパーを引いてこします。
*顆粒出汁or麺つゆの場合も、それぞれ水800mlを混ぜて温めれば出来上がりです。
具材の下準備・切り方は?
800ml位の出汁の量だと、8〜10種類の具を2個ずつ入れるとちょうどいい感じになります。
大根とこんにゃくは軽く下準備が必要
大根は3cm位の厚さに切って、皮を取り角を取っておきます(面取り)。十字の切れ目を1cmくらい両面に入れると煮やすくなりますよ。
こんにゃくは、両面に幅3mm、深さ5mm程度包丁を入れておきます。
大根は水から入れて沸騰したら20分ほど、最後の2分でこんにゃくを入れて下茹でします。大根に串がすっと入ればOK。
昆布を水に入れて柔らかくなったら、幅3cmぐらいに切って結びます。結びこんぶですね。ぬるぬるして結びにくいですが、長めに結めば簡単です。
定番具材の切り方
そのほか基本のおでんに入れたいのは、次の具です。それぞれの切り方の例も紹介します。
- ちくわ:大きなものは斜めに包丁を入れて2つに切ります。
- 糸こんにゃく:結んであるものが売ってます。
- がんもどき:そのままでOKですが、小さいものが食べやすいです。
- いか巻き:そのままで。大きければ2つに切ります。
- はんぺん:対角線に包丁を入れて三角にきります。
- ゆでたまご:固ゆでにして切らずにそのまま。
- ちくわぶ:大きいので、半分に切ってから更にそれぞれ斜めに切ります。
- 揚げボール:そのままで。串に刺してもOKです。
ほかの具を入れる場合にも、上の切り方を応用してください。練り物の表面の油分が気になる場合は、キッチンペーパーで押さえて取ります。
具材の煮る順番
1.まずは大根とこんにゃくを煮ます。出汁を入れた鍋に必要な調味料を加え*、沸騰したら弱火にして蓋をして15分ほど煮ます。
*麺つゆの場合は麺つゆと水を入れることになります。
2.次に、はんぺん以外の練り物と糸こんにゃくを入れて、蓋をして10分ほど弱火のまま煮込みます。
3.はんぺんはふんわり柔らかくてデリケートなので最後に。入れて30秒ほどしたら火を止めて蓋をします。
4.器に取り、練りからしを添えたら完成です!
電子レンジで作る一人分のおでん<約15分で完成>
下茹でも煮込む時間もない……というときは、電子レンジで14分で作れます。本格だしも大変なので顆粒出汁を使いましょう。
大根の下準備もレンジで
電子レンジの場合でも、大根は下茹でしておきます。大根1個が浸るくらいの耐熱ボールに水と一緒に入れて、600Wで6分加熱。竹串がすっと入ればOKです。足りない場合は追加で加熱してください。
出汁と材料を用意
電子レンジで作るときも、やっぱりはんぺんは最後にいれます。茹で卵は破裂するのでこちらは別にして、出来上がってから入れます。
電子レンジで煮込み8分(7分と1分)
1.耐熱の器に、はんぺんとたまご以外の具と出汁(水と顆粒出汁)を入れて、軽くラップをして600Wで7分加熱。
2.はんぺんを加えて、更に1分加熱します。
3.電子レンジから取り出してたまごを入れたら完成。
おすすめの変わり種具材<冷蔵庫にあるかも!>
- ロールキャベツ
- ベーコン
- しゅうまい
- 青梗菜
- 出汁巻きたまご
- 焼き鳥
最近人気の変わり種おでん。中華だったらどうかなとか、洋風、和風ならと思い浮かべてみると面白い具にたどり着くかもしれません。
今回は洋風のロールキャベツにベーコン、中華風のしゅうまいに青梗菜、和の出汁巻きたまごと焼き鳥にしてみました。このバージョンは簡単に麺つゆで、沸騰してから5分程煮ます。
追加の調味料でさらに楽しむ
和のおでんでは使わないかもしれませんが、粗びきこしょうを振ってみると、新鮮な味わいになるのでおすすめ。ほかにも、トマトケチャップをちょっと足したり、コチュジャンを入れてみたり、柚子胡椒は和の定番ですね。
これからの寒い季節にうれしい、身体がぽかぽか温まるおでん。具材は1人分〜2人分がセットになっているものを買ってくるのもいいとおもいます。
さぁ、これでおでんの季節への準備はばっちり! いろいろ試して自分なりのおでんを楽しんでみてください。
[All photos by Atsushi Ishiguro]
石黒アツシ
Atsushi Ishiguro/ライター&フォトグラファー&フードコーディネーター
旅するフードフォトグラファーです。そして、食生活について考えて、レシピを開発して料理もします。「おいしいものをおいしく伝えたい」をテーマに、世界のおいしいものを食べ歩き、写真におさめて、日本で再現し、みなさんと一緒に食べたいというのが、私のビジョンです。
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