食卓に彩りを添えるトマトは、栄養価が高くて毎日でも食べたい野菜。近年では、スーパーでもさまざまな色や大きさ、糖度の高いものなどが並んでいて、選ぶのも楽しいですよね。トマトは冷やしてサラダで食べてもおいしいのですが、パスタやカレー、リゾットなど、加熱料理のバリエーションも豊富。皮を取り除きたいときは、トマトを冷凍してから流水で洗うとツルっとむけて、湯むきするよりも簡単ですよ。そんな小ワザも活用しながら、さまざまなトマトレシピを楽しみましょう。
【特徴】大玉ピンク系「桃太郎」が代表品種。高糖度のフルーツトマトも人気
トマトはナス科トマト属の野菜で、原産は南米のアンデス高原です。日本には江戸時代初期にオランダ人によって観賞用植物として伝来。明治時代にはアメリカから食用トマトが伝わりましたが、強い酸味と香りになじめず普及しませんでした。戦後の食の洋風化に伴って急速に普及し、今では全国で通年栽培される野菜となっています。
主な産地は東北地方や各地の高原地帯で、旬は7〜8月。品種がとても多く、日本では120種以上が栽培されていますよ。
トマトを皮の色で大別すると、「ピンク系」と「赤系」があります。ピンク系は甘みが強いため生食用。赤系は酸味が強く皮がかたいので、トマトジュースやケチャップ、トマト缶などの加工品に使われています。日本では生食中心のため、ピンク系が主流です。
・大きさによるトマトの分類と特徴
■大玉
重さ150g以上のもの。代表品種の「桃太郎」は1985年に発売され、国内で最も流通しています。皮がしっかりしていて果肉はかたく、熟しても実が崩れにくいのが特徴。「ファースト」は先端の尖った形をしています。ゼリー状部分が少ないので、サラダやサンドイッチにおすすめ。
■中玉
40〜150g程度で、「ミディトマト」とも。赤だけでなく、黄色やオレンジなどの鮮やかな色のものもあり、生産量が増えてきています。主な品種は「カンパリ」「フルティカ」「アメーラ」など。
■ミニトマト
20〜40g程度で、直径3〜4cm。プチトマトとも呼ばれます。主流は赤い丸型ですが、近年では黄色やオレンジ、紫、緑色など色もさまざま、長卵型のものも人気です。長卵型の品種「アイコ」は果肉が厚く、甘みも強め。リコピンが通常のミニトマトの2倍含まれています。
■マイクロミニ
直径1cm程度。一般のスーパーではあまり流通していませんが、見た目がとても可愛らしく、料理が華やかになるので、レストランなどで利用されています。流通量が少ないので価格は高め。
ちなみに、近年よく見かける「フルーツトマト(高濃度トマト)」というのは品種名ではありません。定義は正式に決まっていませんが、糖度が8度以上のものを指すことが多いようです。糖度8度はイチゴと同じくらいで、メロン並の10度以上のものもあります。一般的なトマトは糖度4〜6度ですから、フルーツトマトはかなり甘く感じるでしょう。
フルーツトマトは水やりを少なくして育てることで甘みが凝縮されるのですが、その分、サイズは大きくならないため、中玉やミニトマトになります。
【選び方】色鮮やかでムラのないもの、丸みがあり重量感のあるもの
トマトの基本的な選び方は、どの種類でも同じ。皮が色鮮やかでムラがなく、ツヤとハリがあり、ヘタの緑色が濃くピンとしているものが良品です。ヘタがしなびているものや、乾燥しているものは鮮度が落ちている可能性があります。
さらに、大玉の場合は、おしり(果実の先端部分)に放射線状の白い筋が出ているかもチェック。これは「スターマーク」と呼ばれる目印で、糖度が高い証拠です。形は全体的に丸みがあり、ずっしりと重量感があるものを選びましょう。角ばっているものは中に空洞があることが多いので、避けたほうがいいですよ。
【保存】完熟前は常温、完熟後は野菜室で。冷凍は加熱調理用に
全体的に色づきが薄いものや、ヘタのまわりが緑色のものは完熟前。風通しの良い冷暗所で常温保存し、全体が赤くなるまで追熟させましょう。
完熟したトマトはヘタを下にし、重ならないようにポリ袋に入れて野菜室へ。4〜5日ほど保存可能ですが、冷やしすぎると風味が落ちるので早めに使い切りましょう。
使い切れないときは冷凍保存を。生食には向きませんが、加熱調理には活用できます。完熟したトマトを水洗いして水気をしっかり拭き、ヘタをくり抜いてからラップで包んで冷凍用保存袋へ。約1カ月保存可能です。
使うときは凍ったまま流水で洗うと、湯むきしたときのように簡単に皮がむけます。半解凍になって包丁も入りやすいので、刻むのも簡単。半解凍のまま鍋に入れて、トマトソース、煮込み料理やスープなどにしましょう。
【栄養・効果】免疫力アップ、食欲増進、疲労回復に効果
トマトの可食部100gあたりのエネルギーは20kcal。βカロテン、ビタミンC、Eなどが豊富で、ヨーロッパでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざもあるほど栄養価の高い緑黄色野菜です。
緑黄色野菜とは、厚生労働省によって「原則として可食部100gあたりβカロテン当量を600 µg(マイクログラム)以上含む野菜」と定義されています。トマトのβカロテン当量は600 µg未満ですが、トマトは食べる回数や摂取量が多く、βカロテンを摂取しやすいことから緑黄色野菜に分類されています。
赤い色素成分「リコピン」には抗酸化作用があり、免疫力アップ、がんや動脈硬化の予防が期待されています。リコピンは熱に強いため、加熱調理しても抗酸化力が低下しにくいという特徴もあります。
また、酸味成分である「クエン酸」には、食欲を増進させて疲労を回復させる効果も。食欲が落ちやすい暑い季節に積極的に食べたいですね。
【食べ方】バリエーション豊富。そのまま食べても加熱調理しても
トマトはサラダや冷やしトマト、カプレーゼなど、生でも十分おいしいのですが、加熱料理のバリエーションも豊富。卵と炒めたり、チキンと煮込みにしたり、リゾットに加えたり、ホウレン草やベーコンとパスタの具材にしたり。生クリームを使ってトマトクリームパスタにするのもいいですね。
大量消費したいときは、ミートソース、ミネストローネ、水を使わずに野菜の水分だけで作る無水カレーがおすすめ。おいしいトマトをたっぷり使って、栄養もたっぷりいただきましょう。
監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html)
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。
栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。
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はな
hana/編集/ライター
コーヒーチェーン副店長から編集の道へ。現在は保育園児の母とフリーランス編集者の2足のわらじを履く、なんちゃってワーキングマザー。スポーツ観戦が生活の一部で、贔屓チームの勝敗が体調に影響を及ぼす厄介な体質。ワールドカップの日本開催を機にラグビーも勉強中。
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