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倉田直子

POSTED BY ライター/タイニーハウス・ウォッチャー 倉田直子 掲載日: JAN 19TH, 2020.

小さな家の豊かな暮らし【17】タイニーハウスのランドリー事情

「タイニーハウス」をご存知ですか? 様々なとらえかたがある言葉ですが、だいたい20平方メートル程度の小さな家を意味します。さらに、車でけん引できるモバイルハウスであることも。いま世界中でこのタイニーハウスの愛好者や、タイニーハウス生活を夢見る人々が増えていて、「タイニーハウス・ムーブメント」を巻き起こしています。このシリーズでは、オランダでタイニーハウス生活を営む人々や、素敵なタイニーハウスでの生活をご紹介します。

「タイニーハウス・ムーブメント」とは?

タイニーハウスのテラスにはためく洗濯物
タイニーハウスのテラスではためく洗濯物

タイニーハウス・ムーブメントのきっかけは、2008年に発生した世界規模の金融危機「リーマン・ショック」だと言われています。この経済危機をきっかけに、「豊かさってなんだろう」「家ってなんだろう」「本当に必要なモノは何?」と多くの人が考えるようになったのです。そこからタイニーハウス生活が注目を浴びるようになりました。必要最低限のものだけを所有し、ローンのいらない小さな家に住む。そんな「小さくても豊かな暮らし」は、欧州オランダにも伝わりました。

今回は、オランダのタイニーハウスの住人たちのランドリー事情をご紹介します。小さな暮らしの実践者たちは、どのように洗濯をしているのでしょうか。

アムステルダムにある学生寮

 

アムステルダムにある学生寮

学生寮の室内

 

学生寮の室内

以前の記事でご紹介した、コンテナハウス学生寮に住んでいた女性のケース。この寮の個室にバスルームは付いていますが、あいにくと洗濯機の設置は無かったそう。共用スペースのような場所もなかったので、日々の洗濯には困っていたのだとか。そこで小型のバケツ型洗濯機を購入し、自室内で対応できるようにしたそうです。

メーカー名までは不明ですが、こちらのリンク先の動画にあるような、ポータブル式洗濯機だったようです。

マリョレインさんの場合

オランダのタイニーハウス・ムーブメントの中心人物マリョレインさん

 

オランダのタイニーハウス・ムーブメントの中心人物マリョレインさん

オランダのタイニーハウス・ムーブメントをけん引する女性、マリョレインさん。この連載のイメージ画像にも採用されている彼女の家を、2度見学しました。

バスルームに設置された洗濯アイテム

 

バスルームに設置された洗濯アイテム

最初にお邪魔した時は、このような洗濯用アイテムを使用されていました。中に洗濯物と水と洗剤を入れ、ハンドルで本体を回転させて洗うというスタイルです。
写真で見るよりも実物はボリュームがあり、動画サイトで調べたところによると男性用のジーンズもしっかり洗濯できるのだとか。

マリョレインさんの家にある謎の家具

 

マリョレインさんの家にある謎の家具

けれど約2年後に再訪した時、マリョレインさんは新アイテムを紹介してくれました。この一見普通の棚の中には…。

隠された縦型洗濯機

 

隠された縦型洗濯機

なんと、3.5kg用の縦型洗濯機が隠されていたのです! 欧州では縦型洗濯機は非常に珍しいのですが、こんな使い方もあるのですね! ちなみにここはバスルームではなく、リビング・スペースの中央。使用時は、排水ホースをバスルームまで延ばすのだそう。洗濯機をパネルで囲み家具としても使用するという、驚きのライフハックですね。

タイニーハウス村の住人の場合

タイニーハウス村の「Proeftuin Erasmusveld」

 

タイニーハウス村の「Proeftuin Erasmusveld」

畑で野菜を作り、自給自足生活を目指しているタイニーハウス村の「Proeftuin Erasmusveld」。ここに住む住人たちの家はすべてモバイルハウスなので、やはり自宅での洗濯は難しいようです。

敷地内の共有スペースに洗濯機が

 

敷地内の共有スペースに洗濯機が

けれど彼らには敷地内に「共通の家」(het gemeenschappelijk huis)と呼ばれる管理事務所兼コミュニティ・スペースのような場所があります。ここで洗濯もできるそうで、住人のほとんどがここで洗濯をしていると教えてくれました。近くに使い勝手の良い洗濯機があるのは便利ですね。

タイニーハウス通りの「Tiny Loft」の場合

 

「Tiny Loft」のモデルルーム

 

「Tiny Loft」のモデルルーム

Hardegarijpという街にある、オランダ発の「タイニーハウス通り」。そこに建つ「Tiny Loft」というタイニーハウスと全く同じデザインのモデルルームには、家庭用の洗濯機が設置されていました。

「Tiny Loft」には、家庭用洗濯機の設置もOK

 

「Tiny Loft」には、家庭用洗濯機の設置もOK

「Tiny Loft」はモバイルハウスではないので、スペースの工夫次第では通常の洗濯機も問題ないようです。タイニーハウスなのに問題なく洗濯機が置けるのはすごい!

小さな暮らしを始めたばかりの女性の場合

 

 

マルーさんのタイニーハウス


先ほどのマリョレインさんと同じ敷地内で、2018年春からタイニーハウス暮らしを始めたマルーさんという女性の場合。彼女はご実家が同じ市内にあるので、洗濯物は定期的に持ち帰って一緒に洗ってもらっているのだとか。それなら確かに、わざわざ自分で洗濯機を買う必要はなさそうです。

タイニーハウス住人たちの例を見ると、さまざまな洗濯機のチョイスがありましたね。また、自宅で対応できないときは、誰かに助けを求めるというのも選択肢のひとつなのだと気が付きました。日本にはコインランドリーという便利な施設も多いですし、使えるものはどんどん使い、「小さな暮らし」のペースが出来上がってからゆっくり考えてもいいかもしれませんね。

[All Photos by Naoko Kurata]

>>>バックナンバーはこちら
【連載】小さな家の豊かな暮らし〜オランダ発 タイニーハウス 〜

>>>【いくらで建てられる?】夢のデザイナーズハウス

倉田直子

Naoko Kurata/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

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