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POSTED BY ライター/タイニーハウス・ウォッチャー 倉田直子 掲載日: JAN 12TH, 2020.

小さな家の豊かな暮らし【16】タイニーハウス通りに建つ「Tiny Loft」

「タイニーハウス」をご存知ですか? 様々なとらえかたがある言葉ですが、だいたい20平方メートル程度の小さな家を意味します。さらに、車でけん引できるモバイルハウスであることも。いま世界中でこのタイニーハウスの愛好者や、タイニーハウス生活を夢見る人々が増えていて、「タイニーハウス・ムーブメント」を巻き起こしています。このシリーズでは、オランダでタイニーハウス生活を営む人々や、素敵なタイニーハウスをご紹介します。

「タイニーハウス・ムーブメント」とは?

「Tiny Loft」モデルハウス外観
「Tiny Loft」モデルハウス外観

タイニーハウス・ムーブメントのきっかけは、2008年に発生した世界規模の金融危機「リーマン・ショック」だと言われています。この経済危機をきっかけに、「豊かさってなんだろう」「家ってなんだろう」「本当に必要なモノは何?」と多くの人が考えるようになったのです。そこからタイニーハウス生活が注目を浴びるようになりました。必要最低限のものだけを所有し、ローンのいらない小さな家に住む。そんな「小さくても豊かな暮らし」は、欧州オランダにも伝わりました。
今回は、オランダ初の「タイニーハウス通り」に建つ家をご紹介します。

 

オランダ初のタイニーハウス通りに建つ「Tiny Loft」

 

見学客でにぎわう「Tiny Loft」
見学客でにぎわう「Tiny Loft」

2017年6月、オランダのとある街にタイニーハウスが5軒建ち並ぶ「タイニーハウス通り」ができたと話題になりました。そこに建つのは「Tiny Loft」という、タイニーハウスメーカーの「Mill Home」が手掛けているデザインです。
一時期、ニュースメディアなども取材に訪れオランダ国内で話題を呼んでいました。けれど、すでにその5軒には一般の方々が入居して日常生活を営まれています。そのため、一般に公開はされていません。

その代わり、とあるタイニーハウス系イベントでメーカーがモデルハウスを公開してくれたので、その時の様子をご紹介したいと思います。

 

全方位欠点無しのユーティリティ

 

「Tiny Loft」入り口
「Tiny Loft」入り口
「Tiny Loft」のリビングスペース
「Tiny Loft」のリビングスペース

メディアで「Tiny Loft」が取り上げられた直後だったこともあり、見学者でモデルハウスの中は大賑わいでした!

「Tiny Loft」の間取り図
「Tiny Loft」の間取り図

人にあふれて家の構造が分かりにくいので、透視図を見てみましょう。
オランダのタイニーハウスはトレーラーハウス(車でけん引できるタイプ)が多いですが、こちらの「Tiny Loft」は土地に定住するタイプのタイニーハウスです。
屋外のテラスに続き、リビングスペースがあります。その奥にカウンター付きキッチン、ロフト、バスルームという構造になっています。

「Tiny Loft」ロフト部分
「Tiny Loft」ロフト部分
「Tiny Loft」ロフトの上の様子
「Tiny Loft」ロフトの上の様子

多くのタイニーハウス同様、この家もベッドスペースは、ロフトの上に設けられています。二人でも十分眠れる広々とした空間が確保されています。

ソファーベッドはオプション
ソファーベッドはオプション

モデルハウスには、ロフトの下にもベンチ式べッドがありました。ただしこれはオプションなので、取り外すことができます。ニュースに出演した「タイニーハウス通り」の入居者は、ここにデスクを置いていました。その人の暮らしに合わせて必要な家具を入れ替えられるのですね。

「Tiny Loft」の収納とびら
「Tiny Loft」の収納とびら

そしてそのソファーベッドの向かいには収納が。このドアの中は洗濯機置き場やクローゼットとして使えるスペースになっています。

スライド式の収納棚が
スライド式の収納棚が

その扉の左側は、スライド式収納棚も隠されていました。画像が見切れていますが、この棚のすぐ左側はキッチンなので食材などを収納するのにうってつけです。ちなみに、キッチンはオーブンも付属した本格派です。

そして上の画像で人が3名立っている場所が、バスルームです。シャワーブースと洗面台付きのトイレが設置されています。

屋根のソーラーパネルと窓の雨戸
屋根のソーラーパネルと窓の雨戸

屋根には、一面にソーラーパネルが設置されています。この家はオール電化で、キッチンもガスではなく電気調理器が備え付けられているんです。なんとオプションで床暖房も入れられるのだか。

そしてよく見ると、窓にもスライド式の雨戸が備え付けられているのが分かります。これなら、台風のような悪天候の日でもガラスが割れる危険性を軽減できますね。ここまで全く欠点が見当たらないタイニーハウスってすごいです。

そしてメーカーがシェアしているこちらの動画では、「Tiny Loft」のより細かい部分も見ることができます。バスルームの機能性など、一見の価値がありますよ。ご興味あれば、リンク先も見てみてください。

タイニーハウスは現実の選択肢の1つに

「Tiny Loft」ロフト上からのながめ
「Tiny Loft」ロフト上からのながめ

「Tiny Loft」の室内は、奥行き8メートルで幅は2.8メートル。たしかにタイニーハウスなのですが、一般の「広い家」と比べても生活の不便は全くなさそうです。
「Tiny Loft」のしっかりと地に足の着いた設計を見ると、もはやタイニーハウスはただの夢ではなく「現実の選択肢」なのだということが分かります。近い将来、この「Tiny Loft」が立ち並ぶタイニーハウス通りがオランダ中に広がっていくかもしれませんね。

[All Photos by Naoko Kurata]
[Mill Home]

>>>バックナンバーはこちら
【連載】小さな家の豊かな暮らし〜オランダ発 タイニーハウス 〜

>>>【いくらで建てられる?】夢のデザイナーズハウス

倉田直子

Naoko Kurata/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

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