私たちの生活に欠かすことのできないパン。上質な小麦の香りが漂うおいしいパンを食べると心の底から幸せな気分になれます。今回の【東京のおいしいパン屋ルポ】でご紹介するのは、武蔵境駅から徒歩3分ほどの場所にある「Passage à niveau<パサージュ ア ニヴォ>」です。小さくて可愛らしいお店に並ぶフランス仕込みのパンたちは、どれも魅力的。ケースの中を全種類買いたくなってしまいました。早速ルポしていきます!
目次
>>>【東京のおいしいパン屋ルポ】老若男女問わず愛される自然由来のこだわり素材パン「SHIBUichi BAKERY(渋いち ベーカリー)」
踏切という意味の「Passage à niveau<パサージュ ア ニヴォ>」
武蔵境駅から徒歩3分の場所に位置するお店を訪れたのは、朝の8時半。お昼前後となると列ができてしまうため、なるべく空いている時間にうかがいました。着いた時には店内にお客さんがいる様子はなく、思わずホッとひと安心。が、それもつかの間、次から次へとお客さんがパンを求めてやってきます。
サンドウィッチと焼き菓子を購入する男性や、バゲットを2本購入していかれた主婦の方。パン・オ・ショコラのような甘いパンをいくつか購入されている女性など、朝はこの街で暮らしている方たちが自転車に乗って次々に訪れます。
レジの後ろには、近くに住むお子さんからの「いつもおいしいパンを、ありがとう」という可愛らしいメッセージがありました。お店の所どころに素敵な絵が飾られていたりして、細かいところにセンスを感じます。
レジカウンターの下には、子どもの目線にしか入らない位置に、遊び心たっぷりのジオラマも存在します。
お店の名前「パサージュ ア ニヴォ」とは、フランス語で踏切という意味。お店が位置するのは、線路わきのちょうど踏切の辺り。今は踏切はなくなりましたが、「 踏切で立ち止まるように、ふと足を止めて立ち寄ってみて下さい。」という想いを込めているそうです。
フランス仕込みのオーナーがつくる豊富な種類のパン
ガラスケースに並ぶ豊富な種類のパンは、フランス仕込み。見た目もおしゃれで繊細です。
実はオーナー兼ブーランジェールである大和祥子さんの前職は、インテリアコーディネーター。大手住宅メーカーを離職した後、当時おいしいバゲットを買いに行くことが休日の楽しみだったこともあり、パン屋さんをやってみたいと思われたのだとか。人生は何が起こるかわからないものだな~と思ったそうですよ。
そこから先は運命的というか、“縁”を感じるめぐり合わせで今に至っているのだとか。まずは、結婚してフランス在住となったご友人のお宅へ遊びにいったことで人生の歯車が回りだしました。
ご友人夫婦の協力のもと、飛び込みでアルバイトさせてもらったパン屋さんがとても優しい人ばかりで、フランス語はおろか英語もほとんど話せなかったにもかかわらず、毎日楽しくパン作りを教えてもらえたそうです。
ご苦労もあったと思いきや、毎日すべてが楽しくて辛いと思ったことはなかったのだとか。本当に好きなことを一生懸命やっているときは、辛さなんて感じないのかもしれませんね。
“縁”といえば、お店のキャラクターをデザインしてくれたのも高校の同級生である斎藤ひろこさん(ヒロヒロスタジオ)。開店にあたりキャラクター作成を依頼、お店の象徴となる素敵なキャラクターが完成しました。
フランス仕込みのたくさんの焼き菓子とアメリカのママの味
フランスに滞在中、パティシエから習った焼き菓子もたくさん並んでいます。手編みの小さなフランスの国旗も可愛い。
ミソラスクは、開店当時からずっと人気。唐辛子みそを使っためずらしいラスクです。
ピエール君の「チョコチップクッキー」
ピエール君とは、フランスのお店で1番親しくなったパティシエの方。ずいぶん年下の先輩は、とても親切に色々なことを教えてくれたそうです。
フランスのお店のオーナーは、パン職人以外にショコラティエとパティシエの資格も持っていたので、焼き菓子もとてもおいしく、「パサージュ ア ニヴォ」でもそのレシピにならって焼き菓子を作っています。
たっぷりのチョコチップが入ったクッキーは、カリッと少し固めの食感。小麦粉とグラニュー糖、卵、バターといった生地の材料はシンプルです。甘くてなんだかとてもほっとする味。牛乳と一緒に食べたいクッキーです。
チョコチップクッキー(くるみ入り)
価格:390円(税込)
賞味期限:購入日より10日間
Barbara<バーバラ>のレシピ「オートミールクッキー」
フランス仕込みの焼き菓子の中で、唯一違うレシピがオートミールクッキーです。アメリカ人でお客さんだったマッケンジーさんがある日差し入れしてくれたオートミールクッキーがあまりにもおいしく、お店でも出させてほしいとお願いしたところ、快くレシピを教えてくれました。レシピは、彼のママ、バーバラさんのものだったそうです。
レーズン、クランベリー、クルミが入ったオートミールクッキーは、ザクザクした食感を想像しますが、しっとりとやわらかい。たくさん入っているドライフルーツの甘酸っぱさとオートミールの香ばしい味のハーモニーが絶妙です。自分で作りたくなったオーナーの気持ちがよくわかりました。これは、リピ確定!
オートミールクッキー
価格:450円(税込)
賞味期限:購入日より2週間
お店で人気のパンTOP3 プラスα<アルファ>
さあ、いよいよお店で人気のパンTOP3を発表します! その前に、人気TOP3のパンにひけを取らないプラスαのパンをご紹介。
プラスα<アルファ>「サンドウィッチ」
冷蔵ケースに並ぶ3種類のサンドウィッチも人気の商品です。3種いずれも甲乙つけがたいのですが、今回は今の季節におすすめの「オレンジとタンドリーチキンサンド」をいただきます。
鮮やかな野菜の色合いに食欲をそそられます。パンはとてもやわらかく、軽い食感。
そっと開けて中を見ると、わあ~、きれい! 具材の色彩が美しすぎて、ため息がでます。
ピリ辛のタンドリーチキンとオレンジの爽やかな甘酸っぱさの相性が抜群。時々、マーマレードのような甘さも感じます。食欲が落ちがちなこれからの季節でも、これなら朝からペロリといけそうです。
「オレンジとタンドリーチキンサンド」
価格:490円(税込)
消費期限:当日中
第3位 ここだけの味「ミルクチコリ」
チコリの根をローストしたチコリ茶を混ぜたミニバゲットに、黒コショウがアクセントのミルククリームを挟んだミルクチコリは、「パサージュ ア ニヴォ」だけの味。個人的にはこれまで食べた数多くのパンの中でも、1、2位を争う大好きなパンです。
長時間発酵されたバゲット生地はもっちりとして歯ごたえがあります。適当なサイズでちぎったら、上下に分けて食べると食べやすいですよ。
クリームの甘さを感じたあとに、チコリのハーブ独特の香りと苦みがきて、時折顔をだす黒コショウのピリッとした刺激が最後を締める。複雑で深い味わいです。コーヒーにもワインにもあう、大人のミルクフランス。
ミルクチコリの焼き上がりは、午前11時頃。しかも、午後3時には売り切れている可能性が高い大人気の商品です。
ミルクチコリ
価格:310円(税込)
賞味期限:当日中
第2位 ザクっとした食感「クロワッサン」
第2位はクロワッサン。朝は店頭にたくさん並んでいます。香ばしそうな焼き色に惹かれます。
極薄の層のクロワッサンはとても繊細。崩れやすいので、大切に持ち帰りましょう。
温め直しはせず、このまま食べるのがおすすめです。温めるとどうしても油っこさが出てしまっておいしさが半減してしまうのだとか。
噛むとバリバリッという音がします。あっさりとした中にもコクがあり、小麦の味がおいしい。淹れたてのコーヒーとあわせれば、それだけで優雅な朝食タイムを楽しめそう。
クロワッサン
価格:240円(税込)
賞味期限:当日中
第1位 カマンベールチーズやワインと楽しむ「バゲット 」
堂々の第1位はバゲット。粉はフランス産とカナダ産の小麦粉をブレンドし、オーナーがフランスで食べたバゲットの味に極近い味を再現しています。カマンベールチーズなどをのせてワインと共に食べるのがおすすめです。
ふわっと香る小麦のよい香り。ギュッギュッと噛むと小麦の甘さを感じて、そのままでいくらでも食べられます。
「パサージュ ア ニヴォのパン」の賞味期限はすべて当日中。バゲットも同様です。大きなサイズのバゲットが残ってしまった場合のとっておきの食べ方を教えてもらいました。
まず、かたくなったパンを食べたいサイズに切ったら、輪切りではなく、横から半分にスライスします。それを10分程度、牛乳にひっくり返しながら漬け込みます。バゲットが柔らかくなったら、温めたフライパンに植物油とバターを同量いれて、溶き卵にくぐらせたバゲットを焼く。焼き色がついたら、甘くないフレンチトーストの完成です。
甘くないフレンチトーストは初めて作りましたが、漬け込む時間も短くて、超簡単。しかも、すごくおいしかった!
甘くないので、ソーセージやサラダを添えたらお昼にも夕食にもなります。甘くして食べたいときには、ハチミツやメープルシロップをあとからかければOK。この食べ方、絶対おすすめです。
それでもまだ少し余ったので、バターとグラニュー糖のラスクを作ってみました。バゲットがとてもおいしいので大成功~。
バゲット
価格:330円(税込)
賞味期限:当日中
作り手の誠実さが伝わってくるパン屋さん
パサージュ ア ニヴォは、街で愛され続けているパン屋さん。訪れてみてその理由がよくわかりました。すべてにおいて“自分の家族に食べてもらいたいかどうか”を基本にパン作りをしているオーナーと店長さんの真面目で誠実な人柄が、お店全体とパンの味からあふれていました。
また、すぐに訪れたいと思うパン屋さんを見つけました。
Passage à niveau<パサージュ ア ニヴォ>
東京都武蔵野市境南町1-1-20 タイコービル1F
TEL/FAX:0422-32-2887
営業時間:8:00~17:00
定休日:毎週火・水曜日
※通販はなし
https://www.instagram.com/passage_a_niveau/?igshid=YmMyMTA2M2Y=
※店舗や時期により商品の仕様や品揃え、価格が変わる可能性がありますので、ご注意ください。
※店舗営業については最新情報をご確認ください。
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mari.M
mari/ライター
夫、娘、チワワとの4人暮らし。エンタメ業界で過ごした日々はその時々のトレンドにふれた食べ物や場所を満喫。スパイス、ハーブ、スーパー フード大好き。だけど、チョコとお酒がやめられない。おいしいものをいっぱい食べたいから 日々、筋トレに励む。
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