ヒジキといえば、ニンジンや油揚げを加えた煮物が定番。日本人に不足しがちな食物繊維やミネラルを豊富に含んでいるので積極的に取り入れたいところですが、「戻すのが面倒」「煮物以外のバリエーションがない」など敬遠していませんか。本記事では煮物以外の食べ方、戻すのが面倒な人向けのアイデア、栄養価や保存方法を紹介します。
【特徴】約9割が輸入された養殖ヒジキ。約1割が国産の天然ヒジキ
ヒジキはホンダワラ科の海藻で、日本、韓国、中国の沿岸に分布。日本では縄文時代から食用とされていたと考えられる、古くから馴染みのある食材です。
ヒジキは3〜5月が収穫期。生のヒジキは渋みが強いためそのまま食べることはほぼなく、乾燥や水煮などの加工を施したものが市場に出回っています。スーパーなどで「生ヒジキ」として販売されているもののほとんどは、乾燥ヒジキを戻して水煮にしたものです。
日本で流通しているヒジキの約9割は、韓国や中国から輸入された養殖のヒジキ。養殖ヒジキは天然ヒジキの幼芽をロープに付け、波の静かな入江で計画的に生産されています。
国内では三重県、千葉県、長崎県などで収穫されます。国産はほぼ100%天然ヒジキ。荒波などの厳しい環境で育つためコシが強いのが特徴です。
ヒジキは部位によって「芽ヒジキ」と「長ヒジキ」に大きく分けられます。
芽ヒジキはヒジキの「葉」の部分で、やわらかな食感が特徴。サラダや和え物、炊き込みご飯に適しています。
長ヒジキはヒジキの「茎」の部分で、歯ごたえのある食感が特徴。歯ごたえを活かせる煮物や炒め物に向いています。
【選び方】コスパ重視なら乾燥ヒジキ、戻すのが手間なら水煮ヒジキを
スーパーなどでよく目にするのは乾燥ヒジキですが、近年は缶詰やレトルトパックなどの水煮ヒジキも流通しています。
乾燥ヒジキは戻せば6〜10倍の量に増えるので、コスパ重視なら乾燥ヒジキがおすすめ。よく乾燥して大きさがそろっているもの、真っ黒でツヤのあるものが良品です。
戻す手間を省きたいなら水煮ヒジキが便利。パック包装で中身が見える場合は、ツヤがあってみずみずしく、ふっくらしたものを選びましょう。
【戻し方】水に20〜30分浸けて。時間のないときは熱湯に10分
水煮ヒジキはそのまま使えますが、乾燥ヒジキは戻す作業が必要。戻すと長ヒジキは6〜8倍、芽ヒジキは8〜10倍の量に増えます。
たっぷりの水に乾燥ヒジキを20〜30分浸け、ザルに上げて2〜3回水洗いしたら水気を切ってから使ってください。
熱湯だと10分程度浸ければ戻りますが、栄養素が流出してしまいます。どうしても時間のないときのみ、長く浸けすぎないように気をつけて戻してください。
【食べ方】煮物、サラダ、炊き込みご飯など。油との相性も◯
ヒジキといえば煮物が定番。大豆や油揚げ、ニンジンなどと一緒に煮るのが一般的ですが、枝豆やサヤインゲンを加えて彩りを良くしたり、厚揚げやちくわやコンニャクなどを加えて食感に変化を加えたりするのもおすすめです。
他には、サラダや和え物にしたり、炊き込みご飯、チャーハン、ハンバーグ、つくね、卵焼きなどに加えたりしても。油との相性がいいので、炒め物に加えてもおいしくいただけますよ。
【保存】戻しすぎたヒジキは冷凍が便利。煮物も冷凍可能
乾燥ヒジキは未開封なら記載の賞味期限まで長期保存が可能。開封後は湿気を防ぐために密閉容器に入れ、冷暗所で保存しましょう。
乾燥ヒジキを戻しすぎて使い切れなかった場合や、缶詰などの水煮ヒジキを開封して余ってしまった場合は、冷蔵庫で1〜2日保存可能。それ以上持たせたい場合は冷凍保存がおすすめです。
ヒジキの水気をしっかり切り、冷凍用保存袋に平らに入れて冷凍してください。使いやすい量で小分けにしてラップし、冷凍用保存袋に入れてもOK。約1か月保存できます。
使うときは凍ったまま鍋に入れて煮物や炒め物にしたり、レンジ解凍または冷蔵庫で自然解凍してサラダや炊き込みご飯にしたりしましょう。
ちなみにヒジキの煮物も冷凍可能。まとめて作って冷凍しておくとお弁当などにも便利です。汁気を切ってからラップで1食分ずつ包んで冷凍用保存袋へ。約1か月保存できます。
使うときは、レンジ解凍または冷蔵庫で自然解凍しましょう。
【栄養・効果】不足しがちな食物繊維やミネラルが豊富
茹でたヒジキの100gあたりのエネルギーは11kcalです。
腸内環境を整え便秘や生活習慣病を予防する食物繊維、骨や歯を丈夫にして骨粗しょう症予防に役立つカルシウム、血液の循環を正常に保って心臓疾患や高血圧などに効果のあるマグネシウムが豊富。どれも日本人に不足しがちな栄養素なので、積極的に摂取したいですね。
また、ヒジキには貧血や冷え性予防に役立つ鉄も含まれています。ただ、ヒジキに含まれる鉄は、消化吸収されにくい「非ヘム鉄」。大豆や肉などのたんぱく質を含む食品、小松菜などのビタミンCを含む食材と一緒に摂取することで、鉄の吸収が促進されますよ。
監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html)
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。
栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。
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はな
hana/編集/ライター
コーヒーチェーン副店長から編集の道へ。現在は保育園児の母とフリーランス編集者の2足のわらじを履く、なんちゃってワーキングマザー。スポーツ観戦が生活の一部で、贔屓チームの勝敗が体調に影響を及ぼす厄介な体質。ワールドカップの日本開催を機にラグビーも勉強中。
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