大豆はしょうゆ、味噌、豆腐、納豆などの原料となる、和食には欠かせない食材。たんぱく質やイソフラボンなどの栄養素が豊富だと知ってはいても、「煮る方法がわからない」「食べ方にバリエーションがない」など、大豆そのものは扱いにくいと感じていませんか。本記事では大豆の下茹での方法や食べ方、保存方法などを紹介します。
【特徴】代表的な主食「五穀」のひとつ。加工品もいろいろ
大豆はマメ科ダイズ属。大豆が未熟なうちに収穫したものが「枝豆」です。
原産は中国で、日本には弥生時代に朝鮮半島を経て伝来したとされています。
中国や日本古来の代表的な主食「五穀(ごこく)」とは、「米」「麦」「粟(アワ)」「豆」「黍(キビ)または稗(ヒエ)」の5つの穀類のことで、この中の「豆」は大豆を指します。
古くから日本人に親しまれ、やがて味噌や豆腐などの加工品にも発展。和食に欠かせない食材となっていきました。
・大豆の主な種類
豆の大きさや色、用途などで主に分類されます。中でも一番わかりやすい色による分類を紹介します。
■黄大豆
皮の色はベーシュ〜黄色。最も生産量が多いために入手しやすく、一般的に「大豆」といえば黄大豆を指します。納豆や豆腐、豆乳などの加工品の原料や節分の豆撒き用の豆としても使用されています。
■黒大豆
皮の色は黒く大粒で、煮物や黒豆茶の原料に使用。おせち料理に欠かせない「黒豆」の材料となる豆です。有名な品種に兵庫県丹後地方で栽培される「丹波黒(たんばぐろ)」があります。
■青大豆
皮の色が青(緑)色の大豆の総称。大豆は未熟なときは青、熟するに連れて黄や黒になるのが一般的ですが、成熟しても青いのが青大豆。甘みが強く、色が濃いほど噛みごたえが増します。栽培に手間がかかるため、流通量は少なめ。うぐいすきな粉の原料にも使用されています。
以下、本記事での「大豆」は乾燥の黄大豆を指します。
日本人に古くから馴染みのある大豆ですが自給率はわずか6%程度で、大半がアメリカから輸入されたもの。しかし、近年では国産大豆のニーズの高まりから、徐々に生産量が増えてきています。
主な産地は北海道、宮城県、秋田県など。10〜12月に収穫され、その後乾燥させた大豆は1年通して流通しています。
加工品もバリエーション豊かで、味噌、しょうゆ、納豆、豆腐、納豆、豆乳、油揚げ、がんもどき、凍り豆腐、湯葉、おからなど。近年では大豆ミートや大豆麺なども生まれ、肉や小麦粉の代替品としても注目されています。
【選び方】ふっくらとして形や大きさがそろい、光沢のあるもの
乾燥大豆は、粒がふっくらとして形や大きさがそろっているもの、表面に光沢があるものが良品。表面に傷があるもの、皮にしわや裂け目があるものは避けましょう。
下茹での手間を省きたいときや、少量だけ使いたいときは、水煮や蒸し大豆の缶詰やレトルトパウチがおすすめ。食べられる状態まで加工してあり、味はついていないので、手軽に好きな料理に使えます。
【栄養・効果】良質なたんぱく質や大豆イソフラボンなどが豊富
大豆(アメリカ産の乾燥黄大豆)の可食部100gあたりのエネルギーは402kcal。たんぱく質、脂質、糖質、カルシウムや鉄などのミネラル、ビタミンB1、B2、K、Eなどのビタミン類、食物繊維など、さまざまな栄養素をバランスよく含んでいます。
なかでも注目したいのは、たんぱく質の「量」と「質」。大豆に含まれるたんぱく質の割合は重量の約1/3を占めます。また、たんぱく質の栄養価を示す「アミノ酸スコア」は、肉と同じく最高値の「100」。肉に匹敵する良質なたんぱく質を含むことから「畑の肉」と呼ばれています。
たんぱく質は筋肉や内臓などの体組織を生成し、生命維持に不可欠な重要な栄養素。大豆は肉よりも脂質やエネルギーを抑えながらたんぱく質を摂取でき、同時にビタミンや食物繊維なども摂取できるメリットがあります。
他にも、ホルモンバランスを整えて不眠解消や骨粗しょう症予防に役立つ「大豆イソフラボン」、抗酸化作用やコレステロール抑制作用のある「大豆サポニン」、脳を活性化させる「大豆レシチン」なども含まれています。
【食べ方】乾燥大豆は水で戻し、下茹でしてから調理を
大豆を使った料理といえば、煮豆や五目豆、ひじきの煮物などが定番。ポークビーンズやチリコンカンなどの大豆メインの料理もあれば、サラダやスープ、カレー、炒め物などにちょい足しするなど、いろいろな食べ方があります。
乾燥大豆はそのままでは食べられないので、何に使うとしても水で戻してから下茹でする必要があります。
■大豆の戻し方&下茹での方法
1. 水洗いした大豆を4〜5倍量の水と一緒にボウルに入れ、一晩(6〜8時間)置く。(急ぎのときは、熱湯に2時間程度浸けるのでもOK)
2.鍋に大豆を浸した水ごと入れて強火にかけ、沸騰したらアクを取り除いて、弱火にする。
3.落としぶたをして、指でつぶれるくらいやわらかくなるまで70分程度茹でる。(途中で湯が減ったら、豆がしっかり浸かるまで水を足す)
下茹での代わりに、蒸し器や圧力鍋があるなら「蒸し大豆」にする方法も。水で戻した大豆をやわらかくなるまで蒸せばOK。蒸すことで大豆の旨みや栄養素を流出させずに閉じ込めることができます。
【保存】未開封は1年程度。開封後はまとめて下茹でして冷凍を
乾燥大豆は保存性が高く、密閉包装されたものなら未開封で1年程度保存可能。風通しの良い冷暗所で常温保存してください。
開封後や量り売りなどで空気に触れているものは、密閉容器に移して冷蔵庫の野菜室で保存できます。
ただし、庫内の環境によってカビや傷みが発生する可能性もあるので、開封したらまとめて下茹でして、すぐに使わない分は冷凍保存するのがおすすめ。冷凍しても食感や旨みも変わらずに楽しむことができますよ。
冷凍するときは、大豆の汁気をよくきってから冷凍用保存袋に平らになるように入れて。約1か月保存可能です。
炒め物や煮物やスープに使うときは凍ったまま鍋に入れてOK。サラダに使うときはレンジで解凍しましょう。
ちなみに、缶詰やレトルトパウチの大豆の開封後に余った分は、冷蔵庫では1〜2日しか持ちません。すぐに使い切れないときは、同様の方法で冷凍&解凍して無駄なく使い切りましょう。
監修:食のスタジオ(https://www.foodst.co.jp/index.html)
レシピ開発だけでなく、コーディネートや撮影、編集、栄養アドバイスまで手がける食のプロ集団。健康・美容・介護食・離乳食などの専門レシピまであらゆるカテゴリーに対応。監修や編集を手がけた書籍は約100冊にも及ぶ。
栄養監修:内山由香
「食のスタジオ」管理栄養士、フードコーディネーター。女子栄養大学卒業後、食のスタジオにてレシピ開発、料理撮影、栄養計算等の業務を担当。作りやすく、子どもから高齢者まで食べやすい家庭的な料理やつくりおきレシピが得意で、忙しい人でも身近な食材で簡単に作れるレシピを多く開発している。『しっかり食べてきれいになる たんぱく質のつくりおき&らく旨おかず』『組み合わせ自由自在つくりおきシリーズ』(西東社)『朝10分!中高生のラクチン弁当320』(学研プラス)など著書多数。
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はな
hana/編集/ライター
コーヒーチェーン副店長から編集の道へ。現在は保育園児の母とフリーランス編集者の2足のわらじを履く、なんちゃってワーキングマザー。スポーツ観戦が生活の一部で、贔屓チームの勝敗が体調に影響を及ぼす厄介な体質。ワールドカップの日本開催を機にラグビーも勉強中。
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