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POSTED BY ライター/タイニーハウス・ウォッチャー 倉田直子 掲載日: FEB 2ND, 2020.

小さな家の豊かな暮らし【19】ミニマリズムな「Hotel not Hotel」

「タイニーハウス」をご存知ですか? 様々なとらえかたがある言葉ですが、だいたい20平方メートル程度の小さな家を意味します。さらに、車でけん引できるモバイルハウスであることも。いま世界中でこのタイニーハウスの愛好者や、タイニーハウス生活を夢見る人々が増えていて、「タイニーハウス・ムーブメント」を巻き起こしています。このシリーズでは、オランダでタイニーハウス生活を営む人々や、素敵なタイニーハウスをご紹介します。

「タイニーハウス・ムーブメント」とは?

ホテルのアイコン「AMSTERDAM TRAM CART」
ホテルのアイコン「AMSTERDAM TRAM CART」
(c)Hotel not Hotel

タイニーハウス・ムーブメントのきっかけは、2008年に発生した世界規模の金融危機「リーマン・ショック」だと言われています。この経済危機をきっかけに、「豊かさってなんだろう」「家ってなんだろう」「本当に必要なモノは何?」と多くの人が考えるようになったのです。そこからタイニーハウス生活が注目を浴びるようになりました。必要最低限のものだけを所有し、ローンのいらない小さな家に住む。そんな「小さくても豊かな暮らし」は、欧州オランダにも伝わりました。

今回はデコラティブなのにシンプルという、なんとも不思議なタイニーハウス的ホテルのご紹介です。読み終わる頃には、きっとこのホテルを訪れてみたくなると思いますよ。

普通じゃないホテル

「Hotel not Hotel」入り口
「Hotel not Hotel」入り口
(c)Naoko Kurata

アムステルダムに、知る人ぞ知るホテルがあります。その名も、「Hotel Not Hotel」。ホテルであっても、「ホテルじゃないホテル」という名の通り普通のホテルではないのです。

「Hotel not Hotel」内部の様子
「Hotel not Hotel 」内部の様子
(c)Hotel not Hotel

上の写真は、ホテルの吹き抜け部分。開放感あふれる、モダンなホテルに見えますよね。2014年4月にオープンしたという、全18室の決して大きくはないこのホテル。
その18室それぞれに個性があり、泊まる人を飽きさせません。

古いトラムの「AMSTERDAM TRAM CART」

かつてのトラムをリノベーションした宿泊部屋
かつてのトラムをリノベーションした宿泊部屋
(c)Naoko Kurata

代表的なのは、こちら。なんと、ホテルの屋内にトラム(路面電車)が停泊しています! これは、古いトラムの車両を利用した、れっきとした宿泊部屋なんです。

「AMSTERDAM TRAM CART」室内の様子
「AMSTERDAM TRAM CART」室内の様子
(c)Hotel not Hotel

中に2人が横になることができるベッドがあり、宿泊客はそこで寝ることになります。まるで寝台車のような雰囲気です。

教会風の「CRISIS FREE ZONE」

教会をイメージした「CRISIS FREE ZONE」
教会をイメージした「CRISIS FREE ZONE」
(c)Hotel not Hotel

そして一見、こんな信仰心にあふれた部屋も。ルーマニアのトランシルバニア地方の教会をイメージした部屋なのだそう。

教会をイメージした「CRISIS FREE ZONE」
「CRISIS FREE ZONE」赤の間
(c)Hotel not Hotel
教会をイメージした「CRISIS FREE ZONE」
「CRISIS FREE ZONE」青の間
(c)Hotel not Hotel

その室内は、赤い部屋と青がモチーフの部屋に分かれていて、どちらでも好きな方を選べます。個人的には、青い方が心が落ち着きそうな気がします。

本棚の裏の隠し部屋「SECRET BOOKCASE」

本棚を利用した隠し扉
本棚を利用した隠し扉
(c)Hotel not Hotel
本棚の中に宿泊スペースが
本棚の中に宿泊スペースが
(c)Hotel not Hotel

ホテル内にある本物の本棚の奥には、なんと隠し部屋が3つもあります。なんとも冒険心をくすぐるシチュエーションではありませんか? 冒険小説や推理小説の主人公になったような気分になれますね。

清潔な共用バスルーム

清潔な共用バスルームの様子
清潔な共用バスルームの様子
(c)Hotel not Hotel
清潔な共用バスルームの様子
清潔な共用バスルームの様子
(c)Hotel not Hotel

ほとんどの部屋が徹底的に無駄をはぶいたミニマリズムを体現しているので、バスルームは共用(一部専用バスルームのある部屋もあり)。けれど、その共用バスルームもとても清潔で掃除が行き届いているので、全く問題はなさそうです。

カクテルバー「Kevin Bacon」も

フォルクスワーゲンも、立派な宿泊スペース
フォルクスワーゲンも、立派な宿泊スペース
(c)Naoko Kurata

元々は、近隣のビルとビルの合間の、すきま空間に建てられたこの「Hotel not Hotel」。広いホテル内の空間が生かされているのかどうかも意見が分かれるところですが、宿泊スペースを極限まで削った部屋を見ると、わたしたちの「ホテルという概念」を改める必要がありそうですね。

このホテルには「Kevin Bacon」(米国俳優ケビン・ベーコンの名に由来)という素敵なレストラン兼カクテルバーも付随しています。宿泊する勇気が無くても、その雰囲気を味わうことはできるので、アムステルダム旅行の際にはぜひ立ち寄ってみてください。

[Hotel not Hotel]

>>>バックナンバーはこちら
【連載】小さな家の豊かな暮らし〜オランダ発 タイニーハウス 〜

>>>【いくらで建てられる?】夢のデザイナーズハウス

倉田直子

Naoko Kurata/ライター/タイニーハウス・ウォッチャー

2004年にライターとしてデビュー。北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。著書「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

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